研究課題/領域番号 |
21K14005
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
青木 翔吾 秋田大学, 国際資源学研究科, 助教 (60801967)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 東アジア東縁部 / 花崗岩バソリス帯 / 砕屑性ジルコン / U-Pb年代 / Hf同位体比 |
研究実績の概要 |
白亜紀から古第三紀付加体である四国四万十帯砂岩に含まれる砕屑性ジルコンU-Pb年代値のヒストグラムの変化から、100Maを境にペルム紀からジュラ紀(280Maから150Ma)のジルコンが供給が減少し、白亜紀以降(100Ma以降)のジルコン供給が卓越することが明らかになった。これは100Ma以降に白亜紀花崗岩バソリス帯がペルム紀-ジュラ紀バソリス帯より海溝側に発達したことを示唆する。 さらに、ジュラ紀(200Maから150Ma)のジルコンHf同位体比(εHf(t))は-5.0から-25.0が卓越する一方で、白亜紀(130Maから60Ma)は+10から-10の値を示す。これは、ジュラ紀の花崗岩バソリス帯が白亜紀花崗岩バソリス帯に比べて、大陸内部の比較的古い地殻物質を溶融して形成されたことを示す。U-Pb年代値のヒストグラムの変化と組み合わせると、ジュラ紀から白亜紀(150Maから130Ma)にかけて、大規模なマグマ形成場の大陸側から海溝側へのシフトが起きたことが示唆される。そして、そのようなシフトは沈み込む海洋地殻のロールバックで引き起こされたものであると推察される。 また、四万十帯の調査の過程で、付加体中に約130Maに形成された高マグネシア安山岩質の閃緑岩ブロックが分布することを発見した (Aoki et al., 2021, Island Arc)。これは、上記のスラブロールバックによって引き起こされたスラブメルティングにより形成された高マグネシア安山岩質マグマが結晶化後に海溝へと運搬されたことを示唆する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス蔓延に伴い、県外移動が制限されたため、秩父帯や秋吉帯等の付加体砕屑岩試料の採取が行えなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も新型コロナウイルス蔓延に伴う遠方への調査が制限されることを想定し、2022年度は、西南日本秩父帯や秋吉帯に相当し、秋田から比較的近傍に位置する東北日本北部北上帯や根田茂帯の調査や砕屑岩試料の採取を行い、各分析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、地質調査や試料採取のための県外移動が制限され、旅費が一部未使用になった。そこで、未使用額を2022年度の調査費用に充てる。
|