研究課題
若手研究
地表面変位を面的に観測できる合成開口レーダー干渉法(InSAR)において地球大気によって生じる電波伝搬遅延効果は補正が困難なノイズ源として長年にわたりInSAR高精度化の障害となっていた。本研究ではGNSSによる大気観測情報を用いてInSAR大気ノイズに対する補正手法を開発し、従来手法を上回る補正効果が示された。またGNSS観測点が少ないあるいは存在しない地域においても補正を適用可能にするため、開発した補正手法に全球大気モデルERA5を併用するハイブリッド補正手法のプロトタイプを開発した。
固体地球物理学
本研究で開発したInSAR大気ノイズ補正手法は従来の補正手法を上回る補正効果を示しており、これによりこれまで観測精度の制約により検出されなかった微小地表面変位シグナルの検出を実現できる可能性がある。具体例として、スロー地震現象の一つであるスロースリップイベント(SSE)、年間ミリメートル程度の変位量を持つ非地震性の活断層運動、変位分布が地形と相関することの多い山体での火山活動などにおいて、未発見の地表面変位シグナル検出に貢献できる。