研究実績の概要 |
2021年度は,南大洋インド洋セクターにおける一連の研究航海(白鳳丸KH-19-1やKH-20-1など)で採取された海水プランクトン試料・表層堆積物試料のサブサンプリング・試料処理を進めた.海水プランクトン試料については予察的な分析を行い,ターゲットのタクサであるF. kerguelensisの多産出を確認するとともに,珪藻殻の形態解析の体制も整えた. また,珪藻殻酸素同位体比分析の前処理法(円盤型珪藻の分離手法)の確立に貢献し,国際誌に共著論文を発表した.さらに,この手法を改良し,任意の様々な珪藻種(Thalassiosira属, Fragilariopsis属, Eucampia属, Rhizosolenia属, Thalassiothrix属)を大量かつ効率的に分離・濃集する技術を開発した.現在,本成果についても国際誌論文として取りまとめているところである.本手法を用いることによって,F. kerguelensisの産出量が少ない試料においても,本研究課題で行おうとしている形態解析が可能となる.例えば,低緯度側の珪藻含有量が少ない海水・堆積物試料にこの手法を用いることで,F. kerguelensisの形態解析の研究を効率化できると期待できる.
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