研究課題/領域番号 |
21K14039
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
武田 翔 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (10826225)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 摩擦試験 / 粉末成形 / 渦電流試験 / アコースティックエミッション |
研究実績の概要 |
今年度は研究実施計画の通り,試験装置の作製に取り組んだ.当初は既存の設備を転用して試験装置を構築する計画でいたが,検討を進めるうちにこの直動式摩擦試験機を動かすためのソフトウェアに想定以上の制約があることが分かった.また,装置そのものと装置を制御しているパソコンも古く,部品の関係上更新するのも難しい状況であった.そこで,1軸のステージを3つ組み合わせた3軸xyzステージを用いることで,より実験条件を詳細に制御可能な新しい装置を構築した.システムの制御には商用ソフトウェアを使用し,このソフトウェアによりステージの駆動とセンサからの信号の収録を同時に行えるようにした.その結果,この新しい装置を用いることで,より自由度と精度の高い試験を行えるようになった. 一方で,渦電流試験用センサ(プローブ)の感度には未だ課題があることが分かった.渦電流試験は試験対象とする材料とプローブとの間の距離の変化によって信号が大きく変化してしまうことが常に課題となっているが,今回はプローブ取り付け精度の問題だけでなくコイルの形状そのものに課題があることが分かった.具体的にはコイル径が大きく,試験片に対して測定範囲が広すぎるため,より小さなコイルの再設計が必要であることが示唆された.また,アコースティックエミッションセンサに関しては未だ摩擦試験装置に組み込んではいないが,既に別の実験(疲労試験)でその性能は実証済みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
想定外の状況として既存の設備が使用できないことが分かったが,新しく構築した摩擦試験装置によってそれを補うことが出来,結果として当初の計画通りに研究が遂行できている.センサの取り付けやセンサそのものの感度,設計などには未だ課題があるが,実験装置の構築には当初から2ヶ年必要であると計画していた.従って,当初の計画よりも大きく進んでいるという事もないが,遅延しているということもない.
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の計画通り,実験システムの構築に取り組む.今年度は大まかな装置の組み立てを行ってきたが,今後はセンサの取り付けやセンサそのものの設計の見直しに取り組む.また,中期的な目標として,板材だけでなく粉体材料に対しても試験を行うことで,先行研究で行った摺動による粉末接合プロセスに取り組む.今年度の最終目標としてはアコースティックエミッションセンサと渦電流試験から得られたデータを解析し,接合状態との関係を調査するところまでは行いたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は既存の設備を改良することで摩擦試験装置を構築することを考えていたが,先述した理由により新しい実験装置を構築することになった.但し,この新しい装置の構築には研究室が所有していた既存のステージを使用したため,改良に必要と考えていた多くの物品を購入する必要がなくなった.また,旅費も計上していたがコロナ禍によりオンラインでの参加が主となり,これは使用しなかった.次年度使用額に関してだが,センサ類に関していくつかの種類を試すことと,渦電流試験プローブの試作を行うための予算として使用することを考えている.
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