研究課題/領域番号 |
21K14039
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
武田 翔 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (10826225)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 摩擦試験 / 粉末成形 / 渦電流試験 / アコースティックエミッション |
研究実績の概要 |
今年度は研究実施計画の通り,得られたデータの解析と得られた試験片の組織分析に取り組んだ.また,摩擦実験装置の改良を試みた.昨年度出た課題として,アコースティックエミッションセンサから得られた信号について,実験ノイズが予想よりも大きかったということがあったため,今年度は得られた信号に対してノイズ除去処理を施した.この処理により,粉末粒子の接合が進むに従って信号強度が変化することを明らかにした.この時,粒子接合のプロセスが進んでも摩擦係数は大きな変化を示さないことがわかったため,従来の摩擦係数を評価するだけというような摩擦試験では得ることができなかった結果を得られたと言える.また昨年度に計画した通り,この結果をLeeds-Lyon 2023で発表,トライボロジーの最先端研究を行っている研究者達と議論した.この学会での議論や最新の研究動向に関する情報収集の結果,接合後の材料の強化機構であるところの転位の発生・移動をアコースティックエミッション試験により評価できる可能性があることがわかった.転位の移動に関しては,これまでの研究では詳細に明らかになっていなかった部分であり,検討の価値がある.試験片の組織分析については,粉末粒子が摩擦試験回数の増加に伴い進む様子が確認できた.実験装置の改良に関しては,治具を強固でありながら導電性の無い樹脂素材に変更することで,渦電流試験から得られる信号の精度を向上させることに成功した.アコースティックセンサの固定治具に関して,ノイズを低減するためには,実験装置の台座により強固に固定できる治具を作製する必要があることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験結果の解析や組織分析に関して,順調に進んでいると言える.また,実験装置の改良についても研究の進捗状況に応じて適切な改良が加えられている.今まで詳細に明らかになっていなかった,接合後の材料の強化機構である転位の移動がどのように進んでいるかを見ることができれば,さらに研究を進展させることができると期待される.従って,当初の計画よりも大きく進んでいるという事もないが,遅延しているということもない.
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の研究計画通り,摩擦実験のデータ解析と試験片の組織分析を行うことで,接合メカニズムの解明とモデル化に取り組む.インバリアント解析からは,粉末の接合プロセスが全くない状態と進んでいる状態の差異をみるだけでなく,その差異を確認できた主だった周波数について分析を行うことで,特徴量の抽出を試みる.渦電流信号に関しては当初よりも信号強度が低く,更なる実験条件や解析条件の検討を行う必要があると思われる.具体的にはより表層の情報を得ることができる高周波での試験を行うことで,接合部分にフォーカスした情報を弁別できると期待される.また今年度は,これまでの研究では詳細に明らかになっていなかった接合後の材料の強化機構であるところの転位の発生・移動をアコースティックエミッション試験により評価できる可能性があることがわかった.これはインバリアント解析を行う前の信号の生データを精査することで明らかにできる.転位の発生と移動に関してリアルタイムで分析することは,粉末粒子の接合メカニズムの解明とモデル化をする際の重要な情報を得る手段として有効である.
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