研究課題/領域番号 |
21K14055
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山口 貢 金沢大学, 設計製造技術研究所, 助教 (50800877)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ワイヤ溶融凝固現象 / 短絡移行形態 / シールドガス / 酸素含有量 / 造形物温度 |
研究実績の概要 |
本研究では,構造材料として広く用いられる鉄鋼材料をワイヤアークAM(WAAM)に適用し,アークや溶融池の挙動,ワイヤ溶融現象を含む造形プロセスの可視化と造形物の温度測定,シールドガス流れ解析により,造形物内部の気孔の発生に寄与する因子を特定し,気孔の発生機構を解明して抑制手法を確立することを目的とする. まず,造形プロセスにおける一連の現象を明らかにするため,高速度カメラを用いてアークや溶融池の挙動,ワイヤ溶融現象を観察し,造形条件(電流,電圧,トーチ送り速度,ワイヤ供給速度,シールドガス)の違いによる造形様相の変化を調査した結果,以下のことを見出した.電流127 A,電圧16.8 V(入熱2.56 kJ/cm)以下の造形条件では,溶滴移行形態は全て短絡移行となる.アルゴンガス中では,進行方向に対してアークが広く吹き,ワイヤ先端に形成される溶滴サイズは大きい.溶滴移行の安定性は基材や造形物表面の酸素含有量に影響され,22 wt%のときに良好となる.一方,炭酸ガス中では,アークがワイヤ直下に吹き,溶滴サイズは小さい.ワイヤ先端と造形物間の距離が短いため,造形物の表面うねりの影響を受けやすく,アークが吹く箇所が変化することで溶滴移行が不安定となる. これらの結果から,アーク放電による加熱でワイヤ先端に形成された溶滴が,溶融池に短絡・離脱することで層が形成される短絡移行形態では,溶滴がもつ熱量や短絡箇所の表面温度,酸素含有量がプロセス安定性に影響する因子であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に予定していたアークや溶融池の挙動,ワイヤ溶融現象を含む造形プロセスの可視化を予定通りに遂行することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
各層での溶滴の短絡箇所の表面温度を一定とすることでプロセス安定化が見込めるため,今年度は金属ワイヤの溶融凝固現象を解明するとともに造形物温度の管理手法を構築し,造形プロセスの最適化を目指す.
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