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2022 年度 実施状況報告書

ナノ繊維添加によるハイブリッドCFRTPの接合強度・耐久性発現メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K14060
研究機関福岡大学

研究代表者

松本 紘宜  福岡大学, 工学部, 助教 (50850070)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード接合強度 / ナノ繊維 / 結晶化度 / 射出オーバーモールド / 伝熱
研究実績の概要

今年度はインサートCFRTP基材自体の結晶融解に着目し,基材成形時の冷却速度を変化に伴う結晶化度と接合強度の関係を明らかにすることを目的に研究に取り組んだ.界面温度がPPの融解温度付近(オンセット温度)の160℃になるように,シリンダー温度(CT)および金型温度(MT)を設定し,射出成形側の成形条件を固定し,インサート基材の結晶化度のみを変化させた.インサート基材成形時の冷却速度は,徐冷0.3℃/min~急冷990℃/minの範囲で変化させ,結晶化度は示差走査熱量計(DSC)による結晶融解エンタルピーから求めた.
ナノ繊維未添加系においては,接合強度が基材成形時の冷却速度に大きく依存し,990℃/minの冷却速度で成形した試験片の接合強度は0.3℃/minの冷却速度で成形した試験片の接合強度よりも約3倍高い結果となった.一方で,ナノ繊維添加系においては,上記成形条件下においてはナノ繊維未添加系に比べて接合強度が低下する傾向が示された.DSCやX線回折法(XRD)より結晶量が増加する傾向が見られ,結晶融解温度が高温側にシフトしたためであると考えられる.よって,成形条件による接合強度のコントロールが必用になる.
これらの結果により,ナノ繊維の添加の影響による,接合過程の現象を把握するための様々な昇温速度下におけるインサート基材の結晶融解挙動の把握や,インサート基材成形時の様々な冷却速度下における結晶化挙動等を把握することが接合強度発現メカニズムの解明につながることが示唆された.また,成形条件の幅を広げるために金型の加熱・冷却システムも構築する必要性が示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

R4年度は,インサート基材の結晶化度が接合強度に与える影響を定量的に議論することができた.また,次年度の準備に向けて昇温・冷却が可能となる金型の改造を進めることができた.

今後の研究の推進方策

ナノ繊維の添加によりインサート基材の結晶化度を増加させてしまうことが示唆されたため,成形条件側から接合強度の向上が必用となることが分かっている.射出成形のシリンダー温度の過度な上昇は樹脂の熱劣化を引き起こすことが考えられるため,次年度では射出金型の温調に着目し,接合時のインサート基材の表面温度を変化させることにより,接合強度の改善を目指す.また,冷却速度のコントロールにより,接合後の接合界面部の結晶化を制御し,ナノ繊維添加による接合強度発現メカニズムについてさらに議論を進める.

次年度使用額が生じた理由

おおむね計画通りに使用しており,シミュレーション保守費および金型温調制御システムのためのデバイスを購入し,残額は次年度の材料費やセンサまたは制御デバイス装置の購入に充てる予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Selective reinforcement of joining interface using nanofibers in single-lap joints of thermoplastic composites fabricated by the injection overmolding process: creep deformation behaviour2022

    • 著者名/発表者名
      Koki Matsumoto, Masaya Itabashi, Akira Kawasumi, Kenichi Takemura, Tatsuya Tanaka
    • 雑誌名

      WIT Transactions on The Built Environment

      巻: 209 ページ: 3-14

    • DOI

      10.2495/HPSU220011

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2023-12-25  

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