複合化粉末製作について、高速気流中衝撃法(ハイブリダイゼーション)と遊星ボールミル混合による比較実験を行った。母粒子SUS316L、子粒子Al2O3において混合実験を行い、子粒子の残存や付着状態等の混合状態、粉体の形状について観察、評価を行った。検討の結果、本研究の混合系では、高速気流中衝撃法を用いることで、母粒子表面に子粒子が均一に付着した複合化粉末を製作可能であることがわかった。子粒子残存のないL-PBFに適した複合化粉末の本研究の混合系における最大混合量および混合条件は、母粒子(SUS316L)に対する子粒子(Al2O3)の質量比が母粒子:子粒子=1:0.1、処理時間300秒以上となることを明らかにした。 母粒子(SUS316L)に対する子粒子(Al2O3)の質量比が母粒子:子粒子=1:0.1の複合化粉末を高速気流中衝撃法で製作し、PBF-LB造形実験を行った。レーザー出力160W、積層厚さ0.05mmにおいてレーザーエネルギー密度20、40、60、80、100J/mm3について、造形の可否を検討した。造形試験の結果、レーザーエネルギー密度60、80、100J/mm3で造形体を得られることがわかった。試験体断面の組織観察を行った結果、SUS316L粒子表面にAl2O3粒子を複合化させた複合化粉末をPBF-LBで造形した場合、基地組織としてAl2O3粒子分散型SUS316Lを基地組織とし、基地組織周辺にAl2O3層が存在する複雑組織が形成されることがわかった。Al2O3粒子分散型SUS316Lを基地組織中に空隙が観察されず、基地組織周辺にAl2O3層に若干の空隙がみられるが、当初目標とした空隙の少ない高密度な造形物が得られており、目標を達成したと考えられる
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