研究課題/領域番号 |
21K14076
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
初鳥 匡成 京都大学, 工学研究科, 助教 (50812765)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 分子気体力学 / ボルツマン方程式 / エンスコグ方程式 / 円管流 / 高密度気体 |
研究実績の概要 |
本研究では,マイクロ・ナノデバイスや微細構造を有する多孔質体などに代表される微小系内の気体流を考え,とくに円管内の流れを中心に分子気体力学に基づいて調べる.近年の微小系内の高密度気体流の研究の状況をふまえ,本研究もまずここに重点をおくこととした.
初年度はまず,円管内流を調べる準備も兼ねて,平行2平板間の高密度気体流れの調査を開始した.これまでに,エンスコグ方程式と気体論的境界条件に基づいた問題の定式化,衝突積分の高速フーリエスペクトル計算法と組み合わせた方程式の空間積分形に基づく反復による数値計算コードの開発,数値データの取得等を完了した.結果として,平板間の気体の流速および熱流などの巨視量の分布や質量流束,気体分子の速度分布関数を,系の微小さと気体の濃密さの指標である気体分子の平均自由行程および分子直径の平板間隔との比の様々な値に対して得ることができた.この成果は運動論と非平衡流体力学に関する国際研究集会にて発表した.さらに結果を整理の後,国際希薄気体力学シンポジウムでの発表や学術誌への投稿を予定している.
上述の研究を通して,成果そのもののほかに,高密度気体流の問題の定式化や予備解析の段階での要領,現象の基本的な傾向,数値計算上の様々なポイント,など,今後円管内の高密度気体流を調べていくにあたっての要点を理解することができた.このように,次年度以降の研究にとりかかる準備が整ったといえる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平行2平板間の高密度気体流の分析を完了できたため.また,次年度に向けた円管内流れの調査の準備も整ったため.
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今後の研究の推進方策 |
円管内流れの問題の定式化,計算法および数値計算コードの開発などを進めることに集中する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定とは別の高性能計算機をより安価に導入できたこと,学会がオンライン開催となり旅費の使用がなかったことによる.次年度使用額は学会参加のための旅費や計算機資源の増強にあてる計画である.
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