研究課題
研究の目的は、エネルギー機器の内部流体の温度と速度の場を同時に精密に計測することにより、機器の効率向上を図る技術の確立にある。この目的の達成には、微小領域での温度速度場を計測する手段が必要であるため、本研究では高輝度感温微小粒子を用いた新たな測定手法の開発に注力した。研究の初期段階では、非定常場や混相場において、従来技術では計測が困難であったスカラー場を定量するため、二色蛍光粒子を合成し、これを用いた温度速度の同時計測手法を構築した。一つの蛍光剤は温度に応じて発光スペクトル強度が変化する性質を持ち、もう一つはリファレンスとして機能する蛍光剤を使用した。これにより、温度変化と速度場の同時計測が可能となった。昨年度は、これらの蛍光粒子を含むマイクロカプセルの合成に成功し、RGBカメラを使用して発光強度分布を計測した結果、良好な感度での計測が可能であることを確認した。この結果は、非定常場での使用に特に有効であり、機器の設計や評価において高い応用性を持つ。本年度は、実際の流体動力学的環境での応用を視野に入れ、2台カメラによる光学システムを構築し,二色粒子を使用した実測試験を行った。試験の結果、温度変化に対する感度が1℃あたり約1%と非常に高いことが確認された。また、測定位置によって感度比が変化するため、精密な場校正を行い、計測精度の向上を図った。この研究を通じて開発した手法は、不透明な液体や複雑な流体の流動様相を定量的に解析する新たな可能性を開くものであり、エネルギー機器のみならず広範な工学分野での利用が期待される。特に、微小領域での精密測定が可能であるため、微細加工やマイクロ流体デバイスの開発にも寄与することが予想される。
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Transactions of the JSME (in Japanese)
巻: 90 ページ: 23-00268
10.1299/transjsme.23-00268
Applied Thermal Engineering
巻: 228 ページ: 120468~120468
10.1016/j.applthermaleng.2023.120468