研究課題/領域番号 |
21K14079
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
秋元 雅翔 日本大学, 理工学部, 助教 (30778741)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 噴流 / 浮き上がり火炎 / 能動制御 / DBDプラズマアクチュエータ / 燃焼 |
研究実績の概要 |
DBD-PA(DBDプラズマアクチュエータ)を備えた円形ブラフボディを製作した.ここで円形ブラフボディは,2種類の材質で製作した. 1.ベークライト(誘電体)で製作したブラフボディDBD-PAの制御 ベークライトをDBD-PAの誘電体として,ブラフボディを製作した.誘電体の組立は絶縁体の接着剤で行った.ベークライト製のDBD-PAを備えたブラフボディ(ブラフボディDBD-PA)で,円形ノズルから噴出した空気噴流を制御した.このとき,円形ノズルから噴出した噴流は円形ノズル内部に設置したDBD-PAで制御して,噴流にロックイン現象を発生させている.ロックイン現象とは,噴流を制御する周波数(ここではノズル内部のDBD-PAの駆動周波数)と噴流に発生する渦の周波数が一致する現象である.ロックイン現象によって,一定の周波数で制御されて発生した渦をブラフボディに備えたDBD-PAで制御した.その結果,ブラフボディに備えたDBD-PAを駆動するタイミングによって,渦の発達過程に変化が生じることが明らかになった.本内容は,査読付き論文に投稿して,掲載が決定済みである. 2.マシナブルセラミックス(誘電体)で製作したブラフボディDBD-PAの制御 浮き上がり火炎(燃焼場)をブラフボディDBD-PAで制御することも目的としているため,燃焼場でも使用可能なブラフボディDBD-PAの試作を行った.耐熱性,耐火性のために材質はマシナブルセラミックスとした.まずは耐熱性がある接着剤でDBD-PAの組立を試みたが,困難だったために,接着剤を使用しない構造でブラフボディDBD-PAを試作した.試作したDBD-PAで浮き上がり火炎は発生することが確認できたが,火炎の形状が歪んでしまったため,ブラフボディDBD-PAの形状を修正する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来は2022年度に浮き上がり火炎を,DBD-PAを備えたブラフボディで制御する予定であったが,燃焼場で使用できるブラフボディを試作した段階までしか進まなかった.その理由は,燃焼場で使用できるブラフボディDBD-PAの設計・製作に時間が掛かったためである. 初期の構想では耐熱性のある接着剤でブラフボディDBD-PAを組み立てる予定だったが,接着剤の取り扱いが難しかったことと,絶縁が保てなかったために設計変更を行った.またマシナブルセラミックスの切削部品は発注から納品まで1カ月程度掛かるため,設計変更からブラフボディの納品まで時間がかかったことも進捗が遅れた理由である. 加えて,DBD-PAを駆動する高圧電源が故障してメンテナンスに1カ月程度の時間が掛かったことも原因である.
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今後の研究の推進方策 |
浮き上がり火炎を歪まずに形成できるブラフボディDBD-PAを設計して製作する.ブラフボディを支える柱のサイズが大きいことが原因で浮き上がり火炎が歪んでしまっているため,柱の幅を薄くする,また柱の厚みを薄くする.さらにブラフボディに設置している電極の厚みを薄くすることも検討する. ノズル内部のDBD-PAを三電極DBD-PAに変更して出力を向上させて,より速い流速(燃焼させたときの出力が高い)の燃焼ガスを制御する予定であるが,予備実験では三電極DBD-PAの構成にしても,出力に変化がなかった.状況によっては,三電極DBD-PAではなく,ノズルの構造を二重管ノズルに変更する.二重管ノズルに変更することで燃焼ガスと空気を別々のノズルから噴出させて,燃焼ガスと空気の噴流を二重管ノズルの内側と環状側ノズルに備えたDBD-PAで各々制御する.そして,二重管ノズルに備えた2つのDBD-PAと,ブラフボディDBD-PAの3つのDBD-PAで浮き上がり火炎を制御して,浮き上がり火炎の出力の向上を行う. また,ブラフボディDBD-PAを駆動する電源を新たに1台用意したため,仮に電源が1台故障しても研究ができる環境を整えた.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で使用した部品の一部は学内の研究予算で購入したため,予定と使用金額に差異が生じた.また2022年度は新型コロナウイルスの感染拡大のため,複数の学会参加を見送ったので予算に差異が生じた.2023年度は新型コロナウイルスの感染状況を見ながら学会参加をする予定である.
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