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2022 年度 実施状況報告書

四足動物の2種類のギャロップ歩容の異なる力学構造を生み出す原理の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K14104
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

上村 知也  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80881789)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード四足動物 / ギャロップ歩容 / シンプルモデル / 体幹柔軟性
研究実績の概要

四足動物が高速域で用いるギャロップは,左右の脚の運びが逆位相から外れるのが特徴で,脚が地面につく順番によってチーターなどが行うロータリーと,ウマなどが行うトランスバースに分類される.また,チーターの走行では体幹を曲げる飛翔期と伸ばす飛翔期の2種類が存在するのに対して,ウマでは体幹を曲げる飛翔機しか持たない.これらの差異を生み出す力学的要因として,体幹部のロール方向の回転自由度が重要な役割を果たすと予想している.
そこで,ロール方向の体幹ねじれ自由度を持つシンプルなモデルを構築した.このモデルは前後よりも左右のダイナミクスが重要な役割を持つと考え,横断面上で構築した.このモデルについて数値計算によって周期解を探索した結果,ロータリーギャロップに相当する脚の接地順を持つ解とトランスバースに相当する接地順を持つ解が得られ,それぞれの解が得られる状態量の空間が異なることが明らかになった.また,モデルにチーターのパラメータを代入して周期解を数値的に求めた結果,ロータリーに相当する解が得られた一方で,トランスバースに相当する解は得られなかった.ウマのパラメータを代入した結果では,ロータリーに相当する解とトランスバースに相当する解が得られた.これらの結果は国内学会第35回自律分散シンポジウムで報告を行った.
また,シンプルモデルで得られた結果の妥当性を確認するため,シンプルモデルの構造に基づく4足ロボットの開発にも取り組んだ.制御は神経振動子のモデルを用いて,自律的に走行リズムを生成した結果,トレッドミル上でのバウンド走行を達成した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の目的としていたロータリーギャロップとトランスバースギャロップの力学的差異は明らかになってきた.しかし,なぜこれらの歩容が存在し,動物種によって使い分けられるのかについてはまだ理解できていない.

今後の研究の推進方策

チーターとウマの実際の走行データを収集し,提案したシンプルモデルの運動と比較する.チーターの運動はすでに山口大学獣医学部の和田教授から提供を受けており,シンプルモデルの挙動と定性的にも定量的にもよく一致することが確認されている.この結果は生物学的にも重要な知見となることが予想されるため,原著論文としてまとめ,工学ではなく一般誌への投稿を予定している.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] チーターが体幹運動を活用して高速に走行する力学原理2023

    • 著者名/発表者名
      上村知也
    • 雑誌名

      日本ロボット学会誌

      巻: 41 ページ: 266~270

    • DOI

      10.7210/jrsj.41.266

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Three Characteristics of Cheetah Galloping Improve Running Performance Through Spinal Movement: A Modeling Study2022

    • 著者名/発表者名
      Kamimura Tomoya、Sato Kaho、Aoi Shinya、Higurashi Yasuo、Wada Naomi、Tsuchiya Kazuo、Sano Akihito、Matsuno Fumitoshi
    • 雑誌名

      Frontiers in Bioengineering and Biotechnology

      巻: 10 ページ: 825638

    • DOI

      10.3389/fbioe.2022.825638

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] シンプルな4足モデルを用いたチーターとウマのギャロップの動力学解析2023

    • 著者名/発表者名
      上村知也,青井伸也,日暮泰男,和田直己,土屋和雄,松野文俊
    • 学会等名
      第35回自律分散シンポジウム
  • [学会発表] 神経振動子とチーター身体のシンプルモデルに基づくロボットの自律走行2023

    • 著者名/発表者名
      岡大地,上村知也,中村優真,佐野明人,松野文俊
    • 学会等名
      第35回自律分散シンポジウム
  • [学会発表] 4足走行シンプルモデルの受動的な性質に基づく前後2脚ロボットの走行実験2022

    • 著者名/発表者名
      中村優真,上村知也,佐野明人,松野文俊
    • 学会等名
      ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2022

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公開日: 2023-12-25  

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