研究課題/領域番号 |
21K14118
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡辺 将広 東北大学, タフ・サイバーフィジカルAI研究センター, 助教 (00823452)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | クローラ / 索状体 / 折紙 / 無限循環 / ソフトロボティクス |
研究実績の概要 |
今年度は,ベローズ型の折り紙構造の履帯を有するクローラ式索状ロボットToroidal Origami Monotrackの開発,索状体の曲げ変形のモデル化と曲げ限界の導出,履帯の駆動抵抗や曲げモーメントの測定,を主に行った. ロボットの開発では,折り紙ベローズ状に複数回屈曲される履帯とボディとの摺動抵抗を軽減するローラ装置,ボディを2方向に湾曲する機構,ピンチローラ式の履帯駆動装置,非伸縮で薄く閉じた構造を有する履帯,の設計と製作を行った.全ての機構は3Dプリンタ等で製作され,電子部品とともに1つの索状体試作機に統合された.試作機の挙動を観察することにより,提案する袋状の完全気密構造を有する履帯駆動機構が移動するのに問題がないことが確認された. 索状体の曲げ変形のモデル化と曲げ限界の導出では,折り紙ベローズ構造の履帯の幅や長さ,弛みなどの幾何学的なパラメータが,ボディの最大曲率にどのように影響を与えるのかを定式化した.これにより,索状体の旋回性能や首のもたげ限界を概算できるようになった.さらに,履帯の弛み量と最大曲げ量は相反するものであり,設定した最大曲げ量を達成するために必要な最小履帯弛み量が設計できるようになった.これは,履帯の弛みによって生じるシワの発生を抑えることにつながり,駆動抵抗の軽減やスタックの防止に貢献する. 履帯の駆動抵抗や曲げモーメントの測定では,試作した索状体の履帯を循環駆動する際に必要な力や曲げモーメントを実測した.履帯の折り紙ベローズ構造の違いにより,曲げモーメントや駆動力が変化することが確認され,曲げやすさと駆動抵抗は相反する性能であることがわかった. 以上により,提案する袋状折紙駆動体に基盤技術を開発が進展した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標であった,提案する袋状折紙駆動体の基本構造の試作と動作確認ができ,また設計の際に重要となるパラメータの1つの決定方法が明らかとなったため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は本年度製作した試作機をもとに,不整地を走行できる移動体へと改良を進める.具体的には,制御の無線化や効果的な履帯の閉じ方の検討,駆動抵抗が小さく耐久性の高い履帯材料(繊維材料やエラストマー材料)の検討などである.これらは完全気密構造を有する本機構特有の研究要素であるため,本課題でよりよい解決策を模索することが求められる. また,無線化した機体において,索状体の運動や姿勢と理論モデルとの比較を行う.特に,本機体は履帯の摺動抵抗により,ボディが摩擦力を受けて姿勢がずれたり,所望の方向に運動できなくなったりする可能性があるため,検証が必要である. さらに,索状体を研究室内環境を走行させることで,モビリティやデザインに関しての知見を得る.
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