研究課題/領域番号 |
21K14119
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安部 祐一 東北大学, タフ・サイバーフィジカルAI研究センター, 助教 (90778622)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 流体アクチュエータ / 流体噴射 / ドローン / 索状体 / 噴射ドローン |
研究実績の概要 |
本研究では、高圧噴射を駆動源とする機敏な噴射ドローンの基礎技術の研究開発を目的としている。高圧流体噴射の方向制御は、大きな並進力(噴射による反力)を小さな力(回転軸配置を工夫すれば、噴射方向を変える際に噴射力は仕事をしない)で高応答に制御でき、機敏な運動を実現しうる。 令和3年度は、軽量で高応答な噴射方向可変アクチュエータの研究開発に取り組んだ。具体的には、高圧ポンプを用いた実験によって構成要素の流路抵抗を導出し、浮上に十分な噴射反力を得るための流路設計を行った。また、軸受け部を工夫することで、噴射反力を受けても低摩擦で回転できる流路(スイベルジョイント)の開発を行い、圧力や曲げモーメントを加えた際の回転抵抗等の基礎評価を行った。結果、噴射方向制御が、従来比1/3の重量の低トルク高回転サーボモータで実現できる見通しがついた。流路を回転させるサーボモータの軽量防水化、噴射ノズルを回転させる動力連結部の設計製作に取り組み、能動噴射ノズルのプロトタイプを製作した。 また、位置・姿勢を安定化可能な制御系の開発に取り組んだ。具体的には、噴射ドローンの力学モデルを構築し、地面に対して一定の合力を実現する単純な制御条件において、複数の噴射ノズルの幾何配置を工夫することで、ドローンの2軸周りの姿勢を線形安定化できることを数式で確認した。また、これらを検証するため、ホース部を含んだ動力学シミュレーションを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基礎実験で高圧をかけた際に回転流路のシールが破損し、回転抵抗が大きくなってしまう問題が発覚した。その改良を行う必要が生じたため、当初の計画に対して進捗が少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
軽量で高応答な噴射方向可変アクチュエータの研究開発を目指し、回転流路の改良を進める。開発した能動噴射ノズルを用いて性能評価を行い、ドローンのプロトタイプを製作する。 位置・姿勢を安定化可能な制御系の開発を目指し、シミュレーションを用いた制御系の評価、ノズルの幾何配置の最適化等に取り組む。さらに、送水ホースを考慮した制御系の開発にとり組み、ドローンを用いて浮上試験を行う。回転流路の高圧対応に課題が生じているため、低圧で浮上試験を行うことも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の基礎実験の結果、回転流路の高圧化対応に課題が残った。そのため、年度内の高圧ポンプの選定が不可能となり、その分金額が余った。来年度にポンプ等の購入費用として使用予定である。
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