研究実績の概要 |
本研究では、高圧噴射を駆動源とする機敏な噴射ドローンの基礎技術の研究開発を目的としている.高圧流体噴射は、大きな並進力(噴射による反力)を小さな力(回転軸配置を工夫すれば、噴射方向を変える際に噴射力は仕事をしない)で高応答に制御でき、噴射ドローンの機敏な運動を実現しうる.本研究では,軽量で高応答な噴射方向可変アクチュエータの研究開発と,位置・姿勢を安定化可能な制御系の開発に取り組んだ. 噴射方向可変アクチュエータを実現するために,軽量で低摩擦な高圧回転流路(スイベルジョイント)を新しく開発した.既製品に比べて大幅に低摩擦かつ軽量な回転流路が実現できた(重量1/3, 回転抵抗1/2)(静圧10MPa,回転速度12rad/sにて0.25Nm程度の回転抵抗).さらに,この回転流路を用いて,噴射方向を制御できるノズルユニットを開発した.高圧ポンプを用いて噴射流体の方向を制御する基礎実験を行い,開発したノズルユニットで噴射反力の方向を制御できることを実証した.一方で,実際に高圧流体を噴射することで初めて発生する様々な課題を抽出することもでき,今後の開発のための知見を得ることもできた. 次に,ドローンの位置・姿勢を安定化可能な制御系の開発を目指して,剛体多リンク系で構成されたホース部を含んだ3次元動力学シミュレーションを開発した.浮上位置と姿勢を安定化可能な制御方法を提案し,その妥当性について数値計算による簡易検証を行った.また,流体を用いて浮上するホースの浮上と制振制御方法に関する研究について,査読付き国際論文として2件発表した.
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