2022年度は,2021年度に引き続き,回転中心位置の変化が最も顕著であると考えられる,人の膝関節の屈曲運動を,主な対象として研究を進めた. まず,2021年度までに構築した,装着箇所のアシストに寄与しない方向の力を小さくしながら目標のアシストを実現する力制御器において必要な,力の目標値の決定方法を構築した.もし力の目標値が適切でない場合,アシストが不足し,目標となる運動が実現できない可能性がある.または,過大なアシストが行われ,かえって装着者の能力低下を招く.このため,装着者の能力に合わせて,アシストの度合いを調節するように力制御が行われることが望ましいが,同じ装着者でも運動の速さが異なり,人と装具の運動間でずれが発生してしまう.そこで,人と装具の間の力に基づいて目標速度を調節する,Assist-as-Neededな力制御器を開発した.2021年度に開発した膝関節ダミーロボットと膝関節装具ロボットを用いた実験により,ダミーロボットの運動に従って制御器の目標速度を調節できることを確認した.また,2021年度に開発した回転中心推定器と組み合わせ,有効性を確認した. また,膝関節ダミーロボットと組み合わせることを想定した,股関節ダミーロボットを設計した.人の股関節は,屈曲・伸展,内転・外転,内旋・外旋の3自由度運動を行うが,製作した股関節ダミーロボットでは,重力が大きく影響する,屈曲・伸展と内転・外転の2自由度運動に着目して設計した.また,併せて,股関節用装具ロボットのプロトタイプ設計も行った.
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