研究課題/領域番号 |
21K14133
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
小林 亘 岡山理科大学, 工学部, 講師 (00780389)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 下肢保持システムの提案 / 下肢を模したロボットアームの重力補償制御実験 / 水道水圧駆動型人工筋の制御系設計 |
研究実績の概要 |
当初の計画では、水道水圧用増圧器の開発を予定していたが、増圧器内部の流れの可視化に必要となるハイスピードカメラの納期の関係で研究の遅延が予想されたため、次年度に取り組む予定であったリハビリテーションシステムについて検討した。リハビリテーションシステムはこれまでにも数多くの研究・開発がなされているが、それらはPTの作業を完全に代替することを目的に、全自動により駆動するものであった。しかしながら、リハビリテーションは患者個人に合わせて力や可動範囲を調整する必要があり、またその効果がPTの経験に大きく依存していることから定量的な評価が困難であった。そこで、本研究では全自動化ではなくPTを補助するシステムの開発について検討した。具体的には、下肢の可動域訓練を対象として、重力補償制御を応用した下肢保持システムを開発し、PTが下肢を支える必要がなく小さな労力でリハビリテーションを行うことを想定している。今年度では、重力補償制御による下肢保持の有効性を検証するため、下肢を模した1関節ロボットアームを用いて検証実験を行なった。また、本研究ではソフトアクチュエータの1つである水道水圧駆動型人工筋を用いるため、リハビリテーションシステムにはアクチュエータの柔軟性を損なわない設計が必要となる。そのため、高剛性のフレームを直接患者に装着しない補助システムの設計について検討した。以上により、下肢の可動域訓練を補助するシステムとして、患者がベッドに横になった状態で、人工筋を大腿部にベルトを用いて装着する簡易なシステムが実現された。また、アクチュエータとなる人工筋の収縮力により下肢の重量を保証する重力補償制御の有効性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
必要となる実験装置の関係で計画の順番を入れ替える必要があったが、これらはある程度独立している要素であったため、進捗としてはおおむね順調に進展しているといえる。ただし、次年度には本年度計画していた内容を入れ替えて実施する必要があり、本年度の成果と組み合わせて水道水圧用増圧器を適用した下肢保持システムの開発を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、実験装置の関係で実施の順番を入れ替えざるを得なかったため、計画の前後が予定していたものと異なっている。しかし、これらは個々に独立している要素であるため、最終年度で組み合わせた成果を得るためには特に大きな問題にはならないと考えている。本年度では、アプリケーションとなるリハビリテーションシステムの実現可能性が十分に明らかとなったため、このシステムを効果的に駆動できるように増圧器の開発と改良を進めていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施予定であった増圧器の開発に関して、設計に必要となるハイスピードカメラをはじめとする実験装置を構成する要素の納期が大幅に遅延することが明らかとなったため、研究計画の実施順を入れ替えており、これにより使用額に当初の予定と異なっている。これにより、本年度使用を考えていた額は次年度に使用することを予定している。
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