研究課題/領域番号 |
21K14136
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
萬年 智介 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90806754)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 波形組み換えインバータ / 電流不連続モード / DCM / 低力率動作 |
研究実績の概要 |
本研究では,2台のチョッパ回路と1台の波形組み換えインバータで構成される正弦波出力三相インバータの回路・制御方式を確立することを目的としている。特に,提案方式に対して,インバータの軽量化と小型化に着目し,正弦波出力三相インバータが,どこまで軽量化・小型化できるかを明らかにすることを目指す。今年度は,2台のチョッパ回路と波形組み換えインバータを組み合わせた正弦波出力三相インバータについて,インダクタの電流を毎周期ゼロにする不連続モード(DCM)を適用した制御方式の確立に取り組み,以下の成果を得た。 (1) 提案方式では,正負対称に直列接続された2台のチョッパ回路において,それぞれの電流正負によって駆動するスイッチを適切に選択することにより,三相の交流電流をすべて制御できることを明らかにした。 (2) また,三相交流電圧のうち線間電圧がゼロとなる付近で,DCMの電流制御特性が低下するという課題に対して,一時的に電流連続モード(CCM)を許容することにより,電流制御特性を改善した。その結果,フィードフォワード制御のみで電源電流波形の高調波低減を可能とした。 (3) 最後に,従来のCCM動作する波形組み換えインバータでは電流波形生成が困難であった低力率動作について,シミュレーションおよび実験を行った。その結果,DCM方式を適用することにより,電流制御と特性が向上し,低力率状態においても波形組み換えインバータが動作可能であることを明らかにした。 提案方式は,従来の三相インバータと比較して,極めて小さなインダクタンスで従来と同等の動作が出来るため,大幅なや小型化や軽量化が期待できる。本成果は,論文誌への投稿に向けて,準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに,2台のチョッパにおける電流不連続モードを適用した制御方式について,理論的な検証および,シミュレーンと実験によりその動作を確認できている。当初予定していた電力での実証は実験環境の都合上行えなかったが,制御上より過酷な条件である低い電圧において実験を行っており,制御理論の検証は十分である。 以上の点を踏まえて,本研究は当初予定していたものと同程度の進捗が得られたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,学術論文掲載に向けて、論文執筆および追加実験を行う。また、今年度において実施できなかった設計電圧での実験検証を行う。その結果をもとに,インバータ重量について検討し,インダクタや冷却器などの軽量化により,従来方式と比較して提案方式は,大幅な軽量化が可能であることを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度までに、パワー半導体デバイスや電子部品、電源装置などの設備導入が済んでおり、ひととおりの実験も実施済みである。しかしながら、学術論文に向けて十分な議論や実験までは行えておらず、次年度に実施する計画とした。次年度使用額は、論文掲載料および追加実験に関わる実験用品に使用する予定である。
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