研究課題/領域番号 |
21K14137
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 修 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任講師 (90606287)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 無線電力伝送 / モータ |
研究実績の概要 |
今年度は計画通りにワイヤレス電力伝送システム設計・試作と着磁治具の設計と試作・着磁治具を用いた着脱磁の確認を行った。研究は計画に対して遅滞なく進行している。 ワイヤレス電力伝送システム設計・試作においては、今年度は着磁に必要な電力を送電できるワイヤレス電力伝送システムの設計を行った。本システムでは送受電コイルの位置ずれによる共振ずれは起きないため、完全共振時に効率、出力ともに高くできるSeries-Series方式のワイヤレス電力伝送システムとしている。大出力が必要になるため、送電用のインバータのパワーデバイスはSiC(silicon carbide)を複数並列で使用している。同様に整流器はSiCのショットキーバリアダイオードを持ちいている。着脱磁の際の電圧印加方法の切り替えは送電開始の電流方向と回路の構造にて実現することを前提とし、通信を使用しない方法の検討を進めている。 着磁治具の設計と試作・着磁治具を用いた着脱磁の確認においては、モータの代替の負荷としてC型コアを用いて静的な状態での着磁を行うための着磁治具を設計・試作した。コア内部には可変磁力磁石と高保磁力磁石を配置し、着磁時と脱磁時に必要な電力を同等となるように可変磁力磁石の動作点を調整している。同時にモータの基礎設計と磁界解析も進めており、可変磁力磁石の動作点は想定するモータと同等になるように設計を行い、上記ワイヤレス電力伝送システムによる着脱時ができることを確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の目標はワイヤレス電力伝送システム設計・試作と着磁治具の設計・試作・着脱磁の確認であった。それらに目標に対して遅滞なく進行している。大電力を扱うWPTシステムであるため、一度送電回路の破損が発生したが、想定の範囲内であり、すでに対策済みである。今後の研究計画に対して大きな後れを生じる不具合等の障害は発生していない。
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今後の研究の推進方策 |
現状、研究は計画に対して遅滞なく進行している。2年目は、本年度に得られた成果を基に、WVFMの試作と評価を実施する。 WVFMの試作では、1年目の着脱磁までに得られた課題に対してここで対策を行う。具体的には送受電回路のインピーダンス整合である。本研究で試作するWVFMの用途としての想定は自動車駆動用モータであるが、ここでは縦横高さそれぞれ1/2スケールにした容積1/8スケールモデルでの検証とし、現有設備での評価が可能な出力とする。原理検証と設計法の構築が目的であるため、本研究の目的は達成可能である。また可変磁力磁石の脱磁時の速度起電力定数は着磁時の50-60%となるように目標を設定する。これは自動車で常用する速度が最高速度の半分程度であるためである。速度起電力を電源電圧に近づけることでインバータのスイッチング損失を下げることができ、駆動に係る損失を低減できる。 WVFMの評価ではモータでの静的な状態での着脱磁を確認した後、所望の着脱磁が回転中に可能であることをベンチ上で評価する。回転中の着脱磁ではステータの励磁によって発生する磁界とワイヤレス電力伝送によって発生する時間の協調制御をすることで、着脱磁に必要なエネルギーの低減を狙う。最終的な評価として可変磁力磁石の着脱時による効率向上の効果について検証する。
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