本研究では、直流回路を保護する素子である限流ヒューズ内で発生するアーク放電の新しい限流遮断方式を検討した。光硬化性樹脂で作成した狭隘部付き模擬ヒューズを設計し、アーク放電の消弧に対して利用した。その結果、従来から限流ヒューズの消弧媒体として用いられてきた珪砂と比較して、本遮断方式を用いることでアーク消弧過程におけるアーク抵抗の上昇、ひいてはアーク消弧時間の短縮化に成功した。本方式においてアーク抵抗が上昇した要因を、アークのガス特性のシミュレーションから検討した。その結果、高分子蒸気がアークに混入することで、アークの電気抵抗率や熱散逸性が上昇し、その結果としてアーク抵抗が上昇したことが判明した。
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