研究課題/領域番号 |
21K14146
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
斉藤 佑貴 慶應義塾大学, 新川崎先端研究教育連携スクエア, 特任助教 (50869229)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 平面アクチュエータ / 多自由度制御 / ビジュアルサーボ / 画像処理 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究では新たに開発する平面3自由度アクチュエータ、提案するビジュアルフィードバックによる力触覚伝送制御手法を統合することで、低コスト・堅牢かつ操作者の負担軽減が可能な力触覚伝送システムを実現する。本研究目的を確実に達成するため、本研究では五年間の研究期間を三つの小期間に分割。各期間に小目的を設定し研究を推進する。 本年度は研究計画第一期(2021年4月~2023年3月)に該当し、昨年度に引き続き「A.平面3自由度アクチュエータの開発」に取り組んだ。従来のマスタ・スレーブ構造を有する力触覚伝送システムは、自由度の増加に伴い機構的な制約が増え、人の動作の妨げとなっていた。本研究計画第一期では、2次元平面上でX、Yおよびロール(姿勢)の動作、力検出が可能なアクチュエータを開発し、上記課題の解決を図る。具体的な構造としては、永久磁石と非磁性体のボールスライダ機構を有する可動子と、平面状にコイルを配置した固定子を組み、各コイルに流す電流を制御することで磁場を発生させ、可動子の3自由度動作実現を図る。本年度はフィードフォワードの電流制御に成功した原理検証試作一号機に対して、フィードバック制御を行うための磁極位置検出手法として機械学習による画像処理技術に取り組み、検出対象の制約の少ない座標・距離取得システムを構築した。また、本取り組みは研究計画第二期(2023年4月~2025年3月)に予定している「B.ビジュアルフィードバックによる力触覚伝送制御の確立」にも拡張が可能であると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画第一期(2021年4月~2023年3月)に開発予定であった平面3自由度アクチュエータの開発は制御方式の策定の面で機械学習と画像処理を組み合わせることで順調に進んでおり、さらに研究計画第二期(2023年4月~2025年3月)に実施予定のビジュアルフィードバックシステム構築についても、上記取り組みが応用できる見込みであり、現段階では当初の計画以上に進展していると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
既存の多自由度遠隔操作システムにおいては、操作者の動作と駆動系の機構が干渉し、操作者自身がロボットの動きを妨げないようにする必要があった。また、カメラによる視覚情報を制御に用いることはビジュアルサーボと呼ばれ、多くの研究がなされているが、いずれも力触覚を伴わない「固い」位置・速度制御のみに利用されてきた。本研究では、平面上を自由に移動可能なアクチュエータを開発し、カメラによるビジュアルフィードバックを採用した力触覚伝送制御を適用することで、多用途に展開可能な次世代の力触覚伝送システムを実現することである。2023年度は、ビジュアルフィードバックによる力触覚伝送制御の確立に対する取り組みを中心に推進予定であり、機械学習による画像処理技術と低分解能センサ使用下での高精度制御手法を援用することで、まずは単純な1自由度システムでの実現を目指す。、2023年度は前年度までの取り組み内容を含めた成果の発信についても積極的に取り組んでいく。
|