研究課題/領域番号 |
21K14148
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
渡邉 翔一郎 東京電機大学, 工学部, 助教 (40807294)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 数値実験 / 交流回路 / 電気鉄道 / エネルギー / 走行パターン / 実態調査 |
研究実績の概要 |
本研究では、交流電気鉄道において電気設備をはじめとする諸条件の制約を考慮しつつ、省エネルギー効果が得られる列車の走行パターンを明らかにすることを目的としている。 令和3年度は、はじめに列車の走行パターンと消費エネルギーの関係を分析するための数値実験モデルを作成した。列車の力学運動の計算と、消費する電力の計算では、支配方程式がともに非線形微分方程式であることを考慮して、研究の目的に影響しない範囲で計算条件を簡易にして連成計算できるようにした。さらに、複数の列車が走行した場合に電気設備に与える影響についても計算できるようにした。 このモデルを用いて数値実験した結果、近年積極的に研究発表がなされている直流電気鉄道での一般論が、必ずしも交流電気鉄道には適用できないという問題点を、本研究で定量的に明らかにすることができた。特に、電圧・電流の位相の関係や変電所での不平衡について計算結果を得ることができ、これまでの直流電気鉄道の研究では評価することのなかった点について、本研究で新たに考察することができた。 また、我が国においては交流電気鉄道に関する研究論文が少ないという現状を考慮して、本研究の計算結果の妥当性を確認できるようにするために、国内の交流電気鉄道の走行パターンと消費エネルギーの関係を実態把握するための研究も実施した。この取り組みにより、簡易的な装置で実際の交流電気鉄道のデータを得ることができ、今後の研究に役立つ情報を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
列車の走行パターンと消費エネルギーの関係を解析するためには、列車の走行を模擬する力学解析と、列車に流れる電力の流れを模擬する電力潮流解析を連成して計算する必要があり、この連成計算を実施するためのモデル化がひとつの研究課題であった。令和3年度の研究においてはこのモデルを構築でき、数値実験を実施することができた。また、ここでは複数の列車を走行するパターンの計算も実施することができ、計画していたデータを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これからの研究では、数値実験の制約条件とモデルを調整もしくは変化させて、得られる結果がどのように変化するのかを調べる。そして、得られる結果を整理して、走行パターンと消費エネルギーの関係について傾向と一般性を考察する。また、電気設備をはじめとする諸条件を考慮した場合の、最も省エネルギーな走行パターンを調べる。 並行して、直流電気鉄道と交流電気鉄道の共通点と相違点を明らかにしつつ、走行パターンの改良によって得られる交流ならではの有用な点、問題点を考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の一部を変更したことに合わせて、予算執行計画を変更した。今後、研究を進めるための物品費ならびに人件費として利用する予定である。
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