電磁力を用いた仮想的な機械的接続機構の開発に着手した.2次元無線給電用コイルアレイに電磁力コイルアレイを組み込むことにより,受電器に対して電磁力を発生させることができる.この電磁力を用いることにより,受電器を組み込まれた機器を固定したり,移動させたりすることが可能であり,従来の2次元無線給電システムにはない革新的なインタフェースの研究開発を進めている.本機構コンセプトならびに初期的実装は国際会議APMC2022のSDCにて発表し,1st Prizeを獲得した.また,本機構の電磁力発生機構を高度化すべく,無線給電と電磁力発生の両者が共用可能なフェライトコアを選定し,その性能評価により共用可能性を示した. 本研究では受電器を人が手に持った状態で無線給電を行うことを想定しており,共振周波数補正機構ならびに人体防護・ECM対策機構が必須である.共振周波数補正機構としては,FETブリッジ型の周波数補正回路を開発した.本機構では既存のFETブリッジ型周波数補正回路をただ適用するのではなく,共振器間結合の入出力特性に着目することで送受電器間の位相同期が不要な周波数補正回路を開発した.人体防護・ECM対策機構としては,磁気双極子モーメントに基づく漏洩磁界相殺方式ならびに入力電圧制御に基づく高調波相殺方式を開発した.磁気双極子モーメントに基づく漏洩磁界相殺方式は,同心の共振器から漏洩する磁界強度分布の類似性に着目し,無線給電に寄与しない磁界を相殺するための方式である.また,入力電圧制御に基づく高調波相殺方式では,整流回路の影響で生じる高調波をモデル化し,その高調波を相殺するよう入力電圧を整形する技術である.
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