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2022 年度 実施状況報告書

IoT機器信頼性向上のための理論モデルによる小形アンテナ動作メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K14158
研究機関前橋工科大学

研究代表者

藤田 佳祐  前橋工科大学, 工学部, 助教 (90804857)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード小形アンテナ / 複共振 / 帯域幅 / 近傍界 / Q値 / 放射効率 / 球ヘリカルアンテナ
研究実績の概要

本課題では小形アンテナの近傍に存在する物体が与える影響に関する原因と対策について検討している.2022年度の研究では,小形アンテナの近傍にある物体を積極的に利用することによって性能を向上させる方法を中心に研究を行った.
これまでに行ってきた研究では,小形アンテナにおいて帯域幅の低下を引き起こす原因である非常に強い近傍界の分布について,理論的な解明へ向けた一歩を踏み出すことができた.この近傍界は,アンテナの帯域幅を減少させるだけでなく,等価的な整合回路として帯域幅の増大にも複共振として利用できることが知られている.したがって,本課題で小形アンテナの典型モデルとして用いてきた球ヘリカルアンテナについて,近接物体の影響に伴う近傍界を積極的に利用して複共振を実現するための検討を行った.
球ヘリカルアンテナの近傍界を利用した複共振アンテナを実現し,従来アンテナよりも大きな帯域幅が得られた.シミュレーションにおける電界分布によって,複共振を実現している近傍界は伝送線路内の電界分布として解釈が可能であることを示した.その結果,このアンテナの帯域幅はシミュレーション及び実験による結果はよく一致し,球ヘリカルアンテナに対する複共振の適用可能性を示すことができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

進捗状況を判断した理由は,2022年度の研究として物体を近接させた球ヘリカルアンテナの高性能化について一つの具体例を実現することができ,物体の影響を積極的に利用する小形アンテナの可能性を示すことができたからである.本課題において提案したアンテナは,従来アンテナよりも大きな帯域幅を実現することでき,シミュレーションによる設計が実測結果とよく一致するものであった.以上から,研究計画で想定していた小形アンテナに近接する物体の影響を対策したいという部分の目的に寄与する結果となったと考えられる.

今後の研究の推進方策

今後の研究は,近接物体がアンテナに与える影響について精密化及び一般化を進める方向で推進したい.精密化については,アンテナと物体を含むシステムに流れる電流を正確に把握にし,物体の影響を細かく観察することである.具体的にはアンテナと物体の双方について電流分布を近似によって精度高く求める解析的な方法を利用し,定性的及び定量的な影響の評価を続けたい.一般化については,本研究で提案したアンテナがより広い帯域幅や安定した放射効率の周波数特性を持つように改良し,物体の影響をどのように利用することで小形アンテナを高性能化できるかについて検討を続けたい.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] Closed-Form Expression of Radiation Characteristics for Electrically Small Spherical Helix Antennas2023

    • 著者名/発表者名
      Keisuke FUJITA , Keisuke NOGUCHI
    • 雑誌名

      IEICE Transactions on Communications

      巻: E106.B ページ: 459~469

    • DOI

      10.1587/transcom.2022EBP3094

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 細線モデルの球面波展開を用いた球ヘリカルアンテナの近傍電界解析2023

    • 著者名/発表者名
      藤田 佳祐、野口 啓介
    • 雑誌名

      電子情報通信学会論文誌B 通信

      巻: J106-B ページ: 146~156

    • DOI

      10.14923/transcomj.2022GWP0005

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Significance of the Higher-order Modes to the Near-field Calculation of the Spherical Helix Antennas2022

    • 著者名/発表者名
      Keisuke FUJITA
    • 雑誌名

      Proc. of 2022 IEEE-APS Topical Conference on Antennas and Propagation in Wireless Communications (APWC)

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1109/APWC49427.2022.9899885

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Calculation of Q Factor for Spherical Helix Antennas2022

    • 著者名/発表者名
      Keisuke FUJITA, Takuma SHIMADA
    • 雑誌名

      Proc. of 2022 URSI-Japan Radio Science Meeting (URSI-JRSM 2022)

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Analysis on Near Field of Spherical Helix Antennas with Vector Spherical Harmonics2022

    • 著者名/発表者名
      Keisuke FUJITA
    • 雑誌名

      Proc. of 3rd URSI Atlantic Radio Science Conference (URSI AT-AP-RASC)

      巻: - ページ: -

  • [学会発表] Significance of the higher‐order modes to the near‐field calculation of the spherical helix antennas2022

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Fujita
    • 学会等名
      IEEE-APS Topical Conference on Antennas and Propagation in Wireless Communications (IEEE-APWC 2022)
    • 国際学会
  • [学会発表] Calculation of Q Factor for Spherical Helix Antennas2022

    • 著者名/発表者名
      Keisuke FUJITA, Takuma SHIMADA
    • 学会等名
      2022 URSI-Japan Radio Science Meeting (URSI-JRSM 2022)
    • 国際学会
  • [学会発表] Analysis on Near Field of Spherical Helix Antennas with Vector Spherical Harmonics2022

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Fujita
    • 学会等名
      3rd URSI Atlantic Radio Science Conference (URSI AT-AP-RASC)
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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