動物は,多様な運動戦略を自律的に生み出すことで,状況変化に対して適応的に動くことができる.この適応的運動知能に内在する制御構造を抽出するため,本研究では,ムカデに着目し,脳などが担う上位の中枢制御と下位の自律分散制御の連関様式の解明を行動実験および数理モデリングにより試みた.具体的には,不整地歩行において,環境との接触感覚に基づいて頭部運動を制御する上位中枢制御則を下位の歩行制御則と統合することで,環境踏破能力が向上することを示した.また,歩行・走行・遊泳時に示す異なる身体協調パターンの生成に関して,脳や食道下神経節が果たす役割や,それらと下位の分散制御則の統合様式を明らかにした.
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