研究課題/領域番号 |
21K14179
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大西 亘 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (60823888)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 学習制御 / システム同定 / 機械学習 / 精密位置決め制御 / データ駆動最適化 |
研究実績の概要 |
Iterative learning control (ILC)は,半導体露光装置,プリンタ,産業用ロボットといった,精密制御が必要な応用先において幅広く用いられている。この制御法は,一般的に制御対象の過去の試行の位置などの出力を用いて,それに何らかの演算を施し,次回の制御入力を修正している。そしてこの動作を反復させることで,制御対象の出力誤差を収束させていく手法である。 そこで本研究では,システム同定に基づく制御対象の物理をリスペクトした学習制御を構築するべく,State tracking ILC (状態追従型反復学習制御)を提案した。これはオブザーバと組み合わせ,制御対象の位置の出力のみならず,例えば速度や加速度といった状態変数に対して反復学習を行うものである。その副次的な効果として,サンプル点間応答の振動が抑制され,追従誤差が低減した。本年度はさらに,この状態変数の推定を非因果的オブザーバを用いて行うことで,時間遅れをなくし,オブザーバ設計における精度と推定速度のトレードオフから脱却することができることを示した。本手法の有効性は,実際の位置決め装置へ実装した実験によっても示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
半導体不足等による部品調達の遅れがありながらも,初年度において実験検証をすることができたため,おおむね順調に進展していると結論付けた。また,ラピッドプロトタイピング環境として,Industrial PCと制御系CADを連携させることで,数値シミュレーションに用いたプログラムから自動でリアルタイム制御に用いるプログラムを生成するワークフローを構築できたことも,実験の工数削減に繋がり,この遅れの挽回に寄与した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として,上述のState tracking ILCの拡張として,目標軌道のBasisと推定した状態変数を関連付けることで,タスク汎化性能を持たせることを検討していく。さらに,実験装置としては複数共振を持つような高次で柔軟な制御対象を用意し,提案手法の一般性も示していく。
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