本研究では,複数の自律移動ロボットが協調して作業を行う群ロボットシステムを取り扱う.群ロボットシステムは,1個体では実行できない作業やタスクを協力して達成するシステムとして期待されている.本研究では,群ロボットのナビゲーション問題,特に群ロボットをできるだけ簡単な方法で目的地までナビゲートする方法とシステム設計を進めた.そのアイデアとしてロボットの異質性に着目し,少数のナビゲーターロボットと多数のワーカロボットとの間の相互作用を用いる方法を提案した.ナビゲータロボットは,ワーカロボット群を間接的に誘導する役割を担い,ワーカロボットはお互いの衝突に基づいて動くよう,それぞれの行動モデルを設計し,さらに,ナビゲータロボットがワーカロボット群を1つの塊と捉えることで,行動モデルの設計をより単純化する工夫を取り入れた.そして,シミュレーションを通じて提案システムの有効性を提示し,研究成果は国際的な学術掲載雑誌論文にも掲載された. 提案システムは,群ロボットシステム設計のコストを下げ,アーキテクチャの設計もシンプルにできる.また,ロボットの数やデバイスに依存しないため,様々なタイプの群ロボットに適用可能であり,ロボットやデバイスに制限がある状況(例えば,月面や災害現場など)において有効だと考えられる.月面や災害現場でのインフラ作業を想定した群ロボット実験についても検証を進め,本研究成果のさらなる発展の形も示すことができた.
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