研究課題/領域番号 |
21K14185
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河野 佑 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (40743034)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 非線形システム / Contraction理論 / モデル低次元化 / 制御器の低次元化 / ガウス過程回帰 |
研究実績の概要 |
初年度はContraction理論を活用することで,非線形システムに対する出力フィードバック安定化制御器の設計を線形行列不等式へと帰着した.Contraction理論に基づく状態フィードバック制御器設計とオブザーバ設計に関する研究はしばしば見受けられるが,これらの研究は独立して進められており,出力フィードバック制御器の設計に関する研究は数少ない.理由は,非線形システムに対しては分離定理が一般に成り立たないためである.一方で,提案手法を用いて設計した状態フィードバック制御器とオブザーバを併合すれば,出力フィードバック安定化制御器が設計できることを解明した.この結果を拡張することで,入出力間のゲイン(L2-L2ノルム)を一定値以下に抑えるという性能保証を実現する出力フィードバック制御器の設計条件も解明した.制御器設計の研究と並行して,制御対象の入出力特性を一定の精度に保ちつつ,システムの内部変数を削減するモデル低次元化の研究もContraction理論の枠組みで進めた.これら二つの成果を融合することで,システムの制御性能を保証しつつも制御器を簡略化する手法を構築した.提案手法は全て線形行列不等式に帰着できるため,凸計画問題を解くだけで実装できる.一連の成果はIEEE Transactions on Automatic Controlに掲載予定である.他方,上記の研究では問題を凸計画問題に帰着するために,状態フィードバックゲインとオブザーバゲインを定数としており,制御器のクラスを制限している.この問題を解決するために,ガウス過程回帰に基づく非線形制御器の設計についても検討した.加えて,単調性とContraction理論の融合についても検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オンライン会議だけでは国際共同研究者との連携が取りにくいこともあり,電力ネットワークの制御に関する応用研究は進捗が遅れている.その代わりに,制御器の簡略化に関する研究を集中して進めることができた.また次年度以降の準備として,ガウス過程回帰に基づく制御器設計についても予備検討を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の予備検討で手応えを得たガウス過程回帰に基づく制御系設計について理論構築とアルゴリズム開発を進める.電力ネットワーク制御に関しても,受動性や双線型性の活用などの方針が見え始めており,これらの検討を引き続き進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により,共同研究者を訪問することが困難であったため.代わりに,本年度に長期の訪問を計画している.
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