研究課題/領域番号 |
21K14187
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
湯野 剛史 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (10756232)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 自動車 / 自動運転 / 最適制御 / モデル予測制御 / 燃費 |
研究実績の概要 |
本研究では、モデル予測制御で「真なる省燃費自動運転」を実現するための理論的基盤の形成とその展開・応用を目的としている。本研究課題は省燃費自動運転の本質に迫る極めて重要なものであり、その解決は省燃費運転制御に関するあらゆる研究に対して貢献可能であると期待できる。この目的を達成するために、以下の三つの個別目標:(1)真なる省燃費自動運転を実現する評価関数を明らかにする、(2)真なる省燃費自動運転を実現する評価区間を明らかにする、(3)得られた理論的基盤を展開し様々な問題に応用する、に取り組んでいる。 (1)に関して、当初は平均燃費と瞬時燃費のそれぞれで構成される評価関数を主に扱う予定であったが、今年度はこれまで考えられてこなかった新たな評価関数を立式した。これは理論的に妥当な形式であり、前述の二つの評価関数を凌駕する燃費性能が期待できるため重要である。(2)に関して、評価区間が時刻と共に縮小するShrinking Horizon 制御(SH制御)による省燃費自動運転を定式化できた。また、既存の高速なReceding Horizon制御(RH制御)用アルゴリズムをSH制御用に改変することにも成功した。これらにより、特定の状況では真に省燃費な運転操作を計算できると期待できる。(3)に関して、例えば、パワートレインに複雑な切り替えを含む場合のモデル予測型省燃費自動運転制御の手法を提案した。また、SH制御による省燃費自動運転の手法を自動運転タクシーの配車サービスへ応用することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
評価関数については、当初想定していなかった新たな有用な形式を発見できた一方で、数値計算による比較までは行えていない。評価区間については、予定どおりSH制御の定式化とアルゴリズム改変に成功した。展開と応用については、本研究課題で得られる理論的基盤を複雑な数理モデルへ適用するための予備的な成果を得られた。また、現実の自動運転サービスで現れる問題への応用も行った。
|
今後の研究の推進方策 |
評価関数については、数値計算による比較を行ってく。評価区間については、アルゴリズムの高速化を行ったうえで数値計算により有効性を実証していく。展開と応用については、本研究課題で得られる理論的基盤を複雑な数理モデルへ適用するための予備的な成果をさらに積み重ねていき、現実の車両や道路環境に近づける。また、様々な自動運転サービスに対する応用範囲を拡大していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行による出張取りやめに起因する。次年度以降は、学会参加を増やして情報収集を積極的に行うための旅費や、成果発表時の英文校正費などに使用する。
|