研究成果の概要 |
テラヘルツ波は0.1-10 THz程度の周波数帯に位置する電磁波の総称であり, 爆発物や薬剤などの分析用の光源として期待されている. 従来、半導体材料を用いてテラヘルツ波を発生させていたが, 最近, 強磁性金属極薄膜からの高効率なテラヘルツ波発生が注目されている. 本研究では狭帯域かつ高効率なテラヘルツ波放射を目指して材料開発を行った. 特にCo2MnSiという材料はスピン角運動量の注入効率が非常に高いためこの材料がテラヘルツ波放射素子として有望な材料であることが明らかとなった. さらに, MnCrAlGe薄膜において,テラヘルツ波帯のスピンダイナミクスが高効率に励起出来ることが分かった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
テラヘルツ波帯の物性評価では, 一般的な電気測定機器の周波数帯域を超えているため計測が困難であり, 特に強磁性材料におけるテラヘルツ波帯のスピンダイナミクスはあまり調べられてこなかった. 本研究では, そのような技術的困難を全光学的手法を用いて克服し, 様々な材料についてテラヘルツ波帯のダイナミクスを明らかにした点で学術的意義がある. また, 高効率なテラヘルツ波光源やMnCrAlGeおよびFePtといった磁性材料において実際にテラヘルツ波帯の磁化ダイナミクスを実証することで, 今後強磁性金属極薄膜を用いたテラヘルツ素子の開発につながる点で社会的意義がある.
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