研究課題/領域番号 |
21K14246
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研究機関 | 国立研究開発法人防災科学技術研究所 |
研究代表者 |
檀上 徹 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 主任研究員 (10735731)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 斜面崩壊 / 降雨強度 / 継続時間 / 飽和 / 雨量指標 / 現地モニタリング |
研究実績の概要 |
本研究では,斜面崩壊予測の空振り率の低減のため,斜面崩壊の予測精度の向上を目的とし,雨量指標に計測斜面での地盤内の動態を加味した新たな斜面崩壊を予測する手法(修正I-D法)の提案を目指す。最終的に地盤内の水分量変化の特徴を計測により把握し,その後,雨量のみで斜面崩壊の予測ができるようにすることを目指すものである。そのためには,①どこで(場所・深度)計測したデータを使用すれば良いのか,②計測点でいつ飽和帯が形成されるか。③崩壊の危険度を示す各種閾値(CL,WL,EL)の設定をどうするのか。④本手法が他地点でも適用可能なのか,について明らかにする取組を実施する。 ③については2021年度に実施し,本手法における最適な無降雨継続時間の設定について確認することができた。また,②については2022年度に実施し,X軸に降雨開始からの継続時間,Y軸に降雨開始からの平均降雨強度の指標を組み合わせることで,累乗関係となり飽和帯が形成される時点を算出できることが分かった。 今年度は,主に④の「本手法が他地点でも適用可能なのか」について検討し,これまでの清水寺境内の観測結果の他,神奈川県南足柄市内の観測点のデータについて整理し,修正I-D法による適用可能性について示した。また,所属する学会委員会で所有する京都府内の観測点でのデータを入手し,分析中である。 今後とも,①についても分析を進めるとともに,観測点の安定的なデータ取得に向けてメンテナンスを継続していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,観測点の安定的なデータ取得に向けてメンテナンスを継続したとともに,④の「本手法が他地点でも適用可能なのか」についての研究を主に実施した。特に,修正I-D法が他地点でも適用できることについて検証し,適用可能であることが示されたことから,④の課題をクリアにしたと判断し,「おおむね順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後,①の「どこで(場所・深度)計測したデータを使用すれば良いのか」について検証を行うため,計測斜面のメンテナンスを継続していくとともに,計測結果の分析を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、④の「本手法が他地点でも適用可能なのか」の分析に重きを置いて研究に従事したことから,計測データの分析や論文執筆等にエフォートを掛けた。そのため,メンテナンスへの回数が想定よりも減った状況となった。また,現地計測における電力供給部分にトラブルが発生し,その要因の解明に時間を要したことから,本来実施すべきメンテナンス作業等に遅れが生じた。本研究においては,現地計測体制は維持する必要があることから,備品の交換等の作業が必要なため,次年度は積極的に計測データを確保するための作業を実施していく。また,学会への論文投稿,発表等についても引き続き実施し,成果の普及に努める。
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