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2022 年度 実施状況報告書

エネルギー保存性の高い高精度粒子法型流体-構造連成解析手法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K14250
研究機関京都大学

研究代表者

清水 裕真  京都大学, 工学研究科, 助教 (20869705)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード粒子法 / FSI / ISPH法 / 数値シミュレーション / エネルギー保存性 / 計算力学
研究実績の概要

本研究では,エネルギー保存性の高い高精度粒子法型流体-構造連成解析手法の構築に取り組むが,その実現のために必要な4つの課題の内,本年度は,①流体・構造体の精度・エネルギー保存性向上のための高次微分演算子モデルの導入,②整合性の高い時間的連成のためのエネルギー保存性の高い陰的構造体モデルの開発,④構造体大変形解析のためのエネルギー保存性を満たす計算安定化項の開発,について取り組んだ.
①について,昨年度の成果にてTaylor級数展開に基づく高次の微分演算子モデルを導出し,粒子法型高次精度構造体モデルを構築したが,本年度ではその検証を追加のベンチマークテストを通してさらに詳細に行うとともに,流体モデルについても同モデルを導入して粒子法型高次精度流体モデルを構築した.得られた計算結果から,提案高次モデルで既往モデルと比べ優れた計算精度と収束性を得ることができた.
②について,昨年度の成果にて予測子修正子法を参考にした高精度陰的弾性体モデルを構築したが,本年度はこの時間法を更に高度化した.具体的には,昨年度のモデル,3回の繰り返し計算を実施して時間更新するアルゴリズムを,厳密な収束基準を設け収束するまで反復計算を繰り返すよう修正した.本修正により,時間発展の過程でより厳密な解がえられ,より改善された安定性と計算精度が得られた.
④について,計算安定性のさらなる向上のため,粒子法型構造体モデルにて広く採用される人工斥力項を参考に安定化項の開発・導入を行った.本研究で開発した安定化項は新たに定義される誤差エネルギーポテンシャルの空間微分より導かれ,誤差エネルギーを含む総エネルギーが保存される.モデルは陰的時間発展に適合する形で構成され,保存性を害さない形で導入が可能であり,検証過程で安定化効果を持つことが示された.
これらの成果は国際学術誌へ掲載された他,国際会議にて発表を実施した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究実績の概要欄にて詳述した通り,研究計画調書に記載した4つの課題のうち3つに対する解決案を着実に進めることができた.提案モデルは高い安定性・エネルギー保存性・計算精度を示しており,高精度粒子法型流体-構造連成解析手法の基本となる枠組みが完成したといえる.

今後の研究の推進方策

研究計画調書に記載した4つの課題のうちの3つについて進展を得ることができたが,次年度は本年までで開発した課題①②④についての更なる検証を行い,加えて③「整合性の高い力学的連成のための連成手法のエネルギー保存性からの検討・開発」についての開発をすすめていく.特に,課題③について,FSIベンチマークを通して,連成手法のエネルギー保存性への影響を検討する.

次年度使用額が生じた理由

本年度は新型コロナウィルスの蔓延が続いたことから,オンラインでの学会開催となった.そのため旅費関連でかかった費用が参加費(投稿費)のみ(その他,の項目に計上)となり,その差額が次年度使用額として生じている.
翌年度は申請者の所属機関である京都大学でのスーパーコンピューターがメンテナンスを終えることから,計算機性能の向上した新システムでのシミュレーションが可能となる.次年度使用額はその契約のための費用として当てたいと考えている.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Enhanced resolution of the continuity equation in explicit weakly compressible SPH simulations of incompressible free‐surface fluid flows2023

    • 著者名/発表者名
      Khayyer Abbas、Shimizu Yuma、Gotoh Takafumi、Gotoh Hitoshi
    • 雑誌名

      Applied Mathematical Modelling

      巻: 116 ページ: 84~121

    • DOI

      10.1016/j.apm.2022.10.037

    • 査読あり
  • [雑誌論文] An implicit SPH-based structure model for accurate Fluid?Structure Interaction simulations with hourglass control scheme2022

    • 著者名/発表者名
      Shimizu Yuma、Khayyer Abbas、Gotoh Hitoshi
    • 雑誌名

      European Journal of Mechanics - B/Fluids

      巻: 96 ページ: 122~145

    • DOI

      10.1016/j.euromechflu.2022.07.007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fundamental Investigation on the Applicability of a Higher-Order Consistent ISPH Method2022

    • 著者名/発表者名
      Shimizu Yuma、Gotoh Hitoshi、Khayyer Abbas、Kita Kazuki
    • 雑誌名

      International Journal of Offshore and Polar Engineering

      巻: 32 ページ: 275~284

    • DOI

      10.17736/ijope.2022.jc868

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A 3D SPH-based entirely Lagrangian meshfree hydroelastic FSI solver for anisotropic composite structures2022

    • 著者名/発表者名
      Khayyer Abbas、Shimizu Yuma、Gotoh Hitoshi、Hattori Shunsuke
    • 雑誌名

      Applied Mathematical Modelling

      巻: 112 ページ: 560~613

    • DOI

      10.1016/j.apm.2022.07.031

    • 査読あり
  • [学会発表] Fundamental investigation on the applicability of higher-order consistent ISPH method2022

    • 著者名/発表者名
      Yuma Shimizu
    • 学会等名
      The 32nd International Ocean and Polar Engineering Conference, Shanghai, China, June 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] Development of SPH-based higher-order consistent discretization scheme for consistent ISPH simulations of free surface fluid flows2022

    • 著者名/発表者名
      Yuma Shimizu
    • 学会等名
      2022 Xi'an SPHERIC International Workshop
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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