研究実績の概要 |
有明海や宍道湖・中海の水環境の変動は、太平洋側のエルニーニョ現象に間接的な影響を受けている。なお、エルニーニョ現象は、気候変動とも密接な関係がある。そのため、AI技術を活用したエルニーニョ予測モデルを構築する共同研究を行った(Derot et al.,2024)。この研究では、気候変動とエルニーニョ現象の関連を探る新しいアプローチを提案し、実証した。具体的には、機械学習と統計モデルを組み合わせ、シグネチャーメソッドを導入することで、ENSO(エルニーニョ・南方振動)サイクルの変動予測の精度を大幅に向上させた。この手法を用いて、ENSOサイクルの異なるフェーズが自然災害や地球温暖化の発生にどのように影響するかを明らかにし、社会経済的な影響を軽減するためのモデルを開発した。得られた結果は、シグネチャーメソッドを活用した時系列モデルが従来の手法と比較してより迅速かつ簡潔に気候変動を予測できることを示しており、他の多くの研究分野への応用が期待される。特に、このような地球規模の予測モデルと沿岸モデルを組み合わせることは、今後の気候変動による水環境問題に対処する上で重要である。
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