研究課題/領域番号 |
21K14257
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
新井田 靖郎 一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 主任研究員 (10817703)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 流体画像計測 / 風波 |
研究実績の概要 |
気候変動などのグローバルな問題からローカルな水環境評価にまで影響を与える大気―海洋間の熱輸送・ガス交換過程は海面で広くみられる表面張力波や気泡混入などの微小な物理過程の影響を受ける.本年度はこうした海面の微小な物理過程と大気海洋間熱輸送過程の関係を調査するため,風洞水槽における風波発達時の水面について高速サーモグラフィ計測を行った.実験は気温と水温,水槽距離,風速条件を変えた30ケースを実施し,サーモグラフィのフレームレートは250fpsとした.気相と液相が熱的に非平衡状態にある場合,風が吹き始めて表面張力波が発生するまでの間は,発生した吹送流の影響で熱境界層厚さが低下するため,平均表皮水温は急激に気温に近づく.その後,表面張力波が発生すると,波による回転性の流れによって熱境界層以深の水塊が表皮に現れるために,平均表皮水温は熱境界層以深の水温に急激に近づく.さらにその後は,液相側の渦層の厚さの水塊全体が気相側と熱交換するため,平均表皮水温は徐々に気温に近づいていく.本年度はさらに,海面のガス交換過程について調査するために,上記の風洞水槽において溶存酸素を可視化するLaser-induced fluorescence(LIF)計測を実施した.実験には新たに購入した高速度カメラを使用し,風波発達の初期段階における濃度境界層の変動を観察した.また,深層学習と力学モデルを組み合わせた海洋波浪の予測手法を開発し,その結果について論文発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
必要な機材を購入し,実験データの取得が出来ているため,概ね順調とした.今後は解析をさらに進めて論文としてまとめる必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
購入した高速度カメラによって水面近傍の乱流の微細な構造を抽出する.また,本年度行った実験結果について解析を進め,海面の微物理過程と大気海洋間の熱輸送やガス交換過程の関係について論文化する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ対策のため国内出張を控えたので旅費に差が生じた.これらは来年度に国内出張旅費として使用する.
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