研究実績の概要 |
過疎高齢集落における共助活動への協力意向に寄与する要素を明らかにすることを目的とし,今年度は以下の研究に取り組んだ. 中山間地域では生活サービスの縮小や撤退が進行しており,住民による送迎支援や買い物代行といった共助活動の必要性が高まっている.一方で,住民の共助活動への協力意向は様々であり,どのような住民にどのような働きかけをすれば効果的かは自明ではない.そこで,共助活動への協力意向と情報を入手する方法の関係を明らかにすることを目的とした研究を行った.鳥取県東伯郡北栄町において18歳以上を対象としたしアンケート調査を実施し3,947名より回答を得た.調査票の作成にあたり,令和4年度の成果を用いている.調査データに対し項目応答理論およびアソシエーション分析を適用し,情報行動と共助活動の関係を明らかにした.共助活動に積極的な層と積極的ではない層では訴求するメディアと共助が異なることがわかった. 共助活動の担い手となる組織として,地域運営組織に期待が寄せられている.地域の生活サービスを維持することやコミュニティビジネスの事業主体となることが望ましい.しかしながら地域づくりの現場では人材不足が大きな問題となっている.その理由として,地域づくり人材に必要な知識・技術の体系的な支援方法が明らかではないことが挙げられる.そんな中,鳥取県東伯郡北栄町は地域住民による問題解決型学習の取り組み「ほくえい未来ラボ」を新たに立ち上げた.そこで本研究では,ほくえい未来ラボの参加者の活動記録,アンケート,ヒアリング調査から,潜在的な地域づくり人材の発掘およびそれらの人々が地域づくりを実践するために必要な具体的な支援方法を明らかにした.
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