研究課題/領域番号 |
21K14270
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
園部 雅史 日本大学, 理工学部, 助教 (50715290)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | リモートセンシング / SAR衛星画像 / 光学衛星画像 / 風水害 / 家屋被害 |
研究実績の概要 |
令和3年度は,次の2点の研究を実施した. 1. 光学衛星画像,L,C,XバンドSAR画像を利用した浸水域の把握に関する研究 これまでの研究では,令和元年台風第19号の被害を対象とした光学衛星画像による粒度指数(GSI値)による抽出手法を用いることにより,高い精度で浸水域の抽出が可能であることが明らかになった.また,令和3年8月の大雨の被害を対象として,Cバンドの特性を有するSentinel-1衛星やLバンドの特性を有するALOS-2衛星を併用することによって時系列に浸水域が把握できることが示された.併せて,同災害に対してXバンドの特性を有するICEYE衛星での検討を進めている.また,SAR衛星画像では浸水域での土地被覆において後方散乱係数やコヒーレンス値を集計し,その傾向を把握した結果,季節により変化する圃場において,浸水域の把握がSAR衛星画像では困難な場合があり,光学衛星画像を併用する意義があると考えられる.ただし,衛星データの処理結果と現地状況の照合が今後の課題であり,新規の災害が発生した際に継続して実施する予定である.また,光学衛星画像は被雲により,取得困難な場合があるため,より多くの災害パターンで検討が必要である.GISとの併用においては,街路データによる精度向上の取り組みなどの検討を進めており,その効果を確認している. 2. 浸水被害情報や空間情報を用いた家屋被害域におけるコヒーレンス値の適用 浸水被害による家屋被害域とその危険度判定手法の確立を目指し,まずはSARコヒーレンス値や光学衛星画像を用いたテクスチャ解析による判定手法を検討した.平成30年7月豪雨においては,コヒーレンス値を用いて被害建物と健全な建物の分類可能な傾向が示唆された.誤分類した建物についてはSAR衛星の観測方向と建物の向きの影響や浸水深などの浸水パターンを照合するなど,改善方法を検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はまず,研究を進めるうえで必要となるデータ収集や環境整備を行うとともに,SAR衛星画像や光学衛星画像の高度処理画像を生成することで,浸水域の特徴を整理することができた.また,評価に用いる空間情報の入手や整備を行うとともに,オープンフリーな空間情報について収集を行った.また,収集した衛星画像として,Lバンド,Cバンド,XバンドのSAR衛星画像や光学衛星画像のSPOT衛星画像データを入手し,高度処理を行うことにより,様々な変数を算出することでその浸水域抽出のための有効性と,新しいアルゴリズムを検討している. 研究成果としては,本年度実行予定であった様々な衛星データの高度処理とその浸水域の抽出精度について正解データと照合することにより,その適用性について評価することができた.併せて浸水域の土地被覆を考慮することにより,その特徴を把握することができ,研究はおおむね順調である. しかし,COVID-19の影響によって十分な現地調査が実施できておらず,処理結果と照合するための現地情報が予定より順調に入手できていない.そのため,来年度以降の調査を継続して実施する予定である. 研究発表としては,日本リモートセンシング学会で一部の内容に関する口頭発表を行った.査読論文は1編投稿予定であり,今年度で検討データの収集が一部完了しているので,その成果を投稿する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究でも,引き続き①SAR衛星と光学衛星画像の画像情報から得られる災害情報の抽出結果とGISデータを活用し,効果的且つ高精度な浸水域の抽出手法の開発②救援活動や復旧計画に資する家屋被害調査の危険度判定手法の開発の2点を目的として研究を行う.また,衛星画像の観測条件により浸水域のパラメーターが変化するため,フリーに入手可能な衛星データを含めてより多くの衛星データを入手し,加えて検討を進めていく予定である.また,現地調査データが不足しているため,継続して現地調査を積極的に実施していきたい.また,新たな災害が発生した場合,観測された衛星画像データを入手して,追加検討を実施していきたい.加えて,近く先進光学衛星(ALOS-3)の打ち上げも予定しているため,データが得られることを期待している.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度はCOVID-19の影響により十分な現地調査が実施できなかったため,旅費費用として令和4年度に計上する.また,衛星画像データは別費用で入手したが,災害時を想定して多くの衛星画像データを検証する必要があり,様々な特性を有する衛星画像データを入手する必要があるため,データ購入費として計上する.
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