本研究で行ったESBL産生菌の特徴づけにとって、都市下水のモニタリングでは、医療機関で検出されないようなESBL産生菌が、市中で蔓延していることが分かった。同様のモニタリングは国内外を問わず広く適用可能であり,ESBL産生菌以外の耐性菌についても、市中での蔓延状況を明らかにすることができると考えている。また、in vitro試験を用いたESBL産生菌の生残性と保存性の評価結果から、腸内細菌科細菌の中でも環境中での生残性が異なり、それらは耐性遺伝子に依存しないことを明らかとした。この結果は、環境中でのESBL産生菌の挙動や拡散の可能性を議論する上で重要なデータとなり得る。
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