研究課題/領域番号 |
21K14290
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 洋介 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00757338)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 花粉 / 帯電 / 吸着 / 建築材料 / 開口部 / 網戸 / 金網 |
研究実績の概要 |
換気による開口部からの花粉の侵入を抑制するため、窓枠(サッシ)部の建築材料を帯電させることで、建築材料に花粉吸着性能を付与する研究を行った。交付申請書において、花粉吸着のために建築材料の帯電状態を正負で切り替えることにより花粉を吸着するメカニズムを提案していた。単純に開口部近傍の部材を帯電させる場合、帯電した建築材料と花粉との距離が離れることで花粉吸着性能が発揮しにくくなる。 そこで、本研究ではサッシを構成する部分のうち、網戸を帯電し、花粉を吸着させることを考えた。2枚の金網を用いてそれぞれ異なる極に帯電させ、この金網を順番に花粉が通過するようにしたことで物理的に帯電状態を正負に切り替える新たなメカニズムを見出した。 本年度の成果より、帯電したステンレス製の金網は通気性を有しながら、花粉吸着性能を有することを明らかにした。また、金網2枚を用いた場合の花粉吸着性能は金網1枚を用いた場合の花粉吸着性能より優れており、出力電圧2.0kVにおいて金網の種類に関わらず、逆極性に帯電した2枚の金網を用いることで、金網を設置しない状態から花粉が約98.4%減少することを明らかにした。 本研究成果を用いることで、中空に花粉が飛散している時期に窓をあけても、空気を通して花粉を通さないサッシを作製できるようになる。本研究成果の網戸は水洗いをすることによって付着物が除去できるので容易にメンテナンスが可能であり、ステンレスを用いることで長寿命が期待できる。よって、第一種機械換気をはじめとする機械換気システムのフィルタとして用いることで、フィルタの長寿命化も期待できる。本研究成果のフィルタだけでは花粉除去機能に満足できない場合、既存フィルタの外に設置することで、既存フィルタの寿命を長寿命化することも可能となると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
サッシの網戸部に異なる極に帯電した金網を複数枚用いることによって、サッシを構成する単一の金属板の帯電量を変更することに比べて容易に花粉吸着性能を制御できるようになった。構造も単一の金属板の帯電量を変更する形に比べて簡素化できるようになったため、製品化する場合にも安価にできると考える。 この新しい形について、金網を複数枚用いる有意性について示した他、金網の線径、金網のメッシュ径、帯電量が花粉吸着性能に及ぼす影響を明らかにした。これにより、異なる極に帯電した金網を複数枚用いることによる花粉吸着メカニズムの有用性を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
単一の金属板の帯電量を変更する方法でなく、異なる極に帯電した金網を複数枚用いる方法を採用するようにしたため、金網の間隔、金網の線径、金網のメッシュ径など、制御できるパラメータが増えた。今後はこれら及び帯電量、風量などのパラメータとの組み合わせでより高い花粉吸着性能を実現するための試行を続ける。 特に、金網の間隔については、間隔を小さくすると正帯電した金網と負帯電した金網の間で火花が発生するなど、花粉吸着性能とは別の問題が生じると分かったため、これを解決した上で最適な金網の間隔を設定することを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初検討していた実験装置から形状が変更となったため、計画していたパーティクルカウンタを使用しての花粉計測ができなくなった。 来年度以降に予算内でハイスピードカメラ等の別途の花粉計測システムを導入することを考えている。
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