研究課題/領域番号 |
21K14321
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研究機関 | 公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所(研究部) |
研究代表者 |
浜田 愛 公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所(研究部), 研究部, 研究員 (60897750)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 職住混合 / コンプレックスエリア / 地場産業 / 地域産業空間構造 / 都市計画基礎調査 / 職住併存住宅 / 印刷業 / 地区計画 |
研究実績の概要 |
本研究は、我が国の都市部職住混合地域(コンプレックスエリア)の脱工業化に伴う都市構造上の位置づけの変遷と混合メカニズムを可視化し、都市計画制度や空間基盤条件との関係を明らかにすることで、都市計画が直接的及び間接的にもたらしてきた効果を検証することを目的とする。
本年度は、初年度として東京都区部の地場産業集積地と職住混合市街地を対象に、脱工業化に伴う都市構造上の位置づけの変遷と混合メカニズムの可視化についての研究に着手した。 具体的には、以下の枠組みで、データや文献等の資料の収集、都市計画制度の抽出、調査対象の検証などを実施した。 ①住工併存型住宅が多く集積して立地している職住混合地域として東京都区部の文京区・新宿区を中心とした印刷業集積地を対象に、近世から近現代にかけての印刷業の立地及び産業構造に関する資料収集を実施し、近代化及び脱工業化に伴う産業構造の変容を調査した。また、東京都区部における1950年代の印刷業の事業者名簿の史料を入手し、当時の事業所立地と業種分類(分業構造)に関する統計データとGISデータを作成した。 ②東京都から都市計画基礎調査の地理情報システムデータを借用し、東京都区部にかかる地区計画を対象に、平成30年における地区計画範囲と用途地域を重ね合わせることにより、住居系・商業系・工業系の用途地域が複数混在して(住・商、住・工、住・商・工、商・工)地区内に含まれる地区計画をそれぞれ抽出することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、東京都に加え大阪府や京都府などの他の都市部での調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルスの影響で対象地域への出張が困難であったため、現地調査や地図資料などの収集が予定通りに進まず、東京都区部を中心とした資料収集・データ分析を中心に作業を進めた。 また、年度途中で研究機関を変更した際、データの再借用など異動の手続きに時間を要し、計画にやや遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度中に、次年度は収集したデータや資料を基に現地調査や資料の分析を実施する。 ①東京都の印刷業の産業構造を把握するとともに、その空間的な展開を可視化し、その集積や職住混合の実態と、脱工業化に伴う地域産業空間構造の変容を明らかにしていく。 ②抽出された用途地域が混在している地区計画を対象に、その混在の特性毎に計画内容に関してさらに詳細な整理を実施するとともに、その産業活動や職住混合地域の生活実態への影響を検証する。 ③大阪を中心に統計資料や都市計画基礎調査のデータを元に、職住混合地域の都市構造における位置づけを分析する。併せて他都市における職住混合地域に関する既往研究や資料のレビューやデータ整理を行い、比較研究のための詳細調査対象を抽出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、現地調査などの出張の実施が困難であったため、旅費等については次年度以降に繰り越して使用する。
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