研究課題/領域番号 |
21K14355
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
杉岡 洋介 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (20865604)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ストールセル / 失速 / 境界層剥離 / 非定常現象 / 光学流体計測 / 感圧塗料 |
研究実績の概要 |
本年度は,後退角が無い矩形翼について,主流条件とアスペクト比がストールセルの生成に及ぼす影響を調査するため,端板取付位置を変更できる風洞試験模型を設計・製作した.風洞試験では,まず,端板が無いアスペクト比が 6.47 の矩形翼を対象に,主流速度と迎角をパラメータとして,各条件において圧力孔計測および蛍光オイルフロー可視化を行った.その結果,翼上面にストールセルが生成される特定の条件を明らかにした.次に,位置可変型端版を設置することで,アスペクト比の影響を調べた.アスペクト比が 4 および 6 の場合を比較すると,ストールセルの個数は変化しなかったが,それらのサイズや生成位置は異なった.興味深い結果として,ストールセルの個数やサイズが時間的に変動する現象が蛍光オイルフローによって可視化された.風洞試験と並行して,高速応答感圧塗料の改良のための材料選定を行い,メーカから粒子サンプルを入手した.そのサンプルを使用していくつかの高速応答感圧塗料を試作することで,材料のスクリーニングを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた通り,アスペクト比が異なる後退角無の矩形翼について,時間平均圧力計測および翼表面流れ場の可視化を行い,データベースの一部となるデータを蓄積できた.本年度取得したデータを基に,次年度以降に先進的光学計測手法を適用するアスペクト比および主流条件を選定できたため,おおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,まず,本年度製作したアスペクト比が異なる後退角無の矩形翼周りの流れ場を対象に,非定常感圧塗料法や粒子画像流速測定法を適用することで,時間変動する現象やストールセルの空間構造を明らかにする.非定常感圧塗料法のデータは信号雑音比が低いことが予想されるため,感度および応答特性が良好な高速応答感圧塗料やノイズを低減するための計測・解析法の開発も並行して進める必要がある.また,本年度対象とした翼型で後退角が有る模型を設計・製作し,先進的光学計測手法を用いて流れ場を可視化することで,当初の仮説の検証を進める.実験データを早期に取りまとめ,学会や学術誌を通して成果発表を積極的に行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により学会がオンライン開催となったため,旅費を使用しなかったためである.また,アスペクト比可変後退角無模型が当初予定よりも高額となり,後退角有模型を同時に製作することができなかったためである,これらの助成金は翌年度分として請求した助成金と合わせて後退角有模型関連の備品および光学計測に関連した契約(PIVオイルの清掃等)に使用する.
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