研究課題
昨年度までの技術的な課題を対応し、JAMSTEC 地球海洋観測船「みらい」2023年北極航海において開発した小型海洋表層ドリフターをカナダ海盆上の氷縁近傍に計7つ集中展開した。展開は5マイルずつ直線的に離れた3点から行われ、中央の点からは200m間隔で5つのドリフターが集中展開された。展開後のドリフターの軌跡から直径30km を超える海洋中規模渦の存在が確認できた。また、集中して展開された 5 つのドリフターは、同渦に捕捉される形で展開3日後から10日後まで漂流を続けた。渦に捕捉されている間の相対位置の時間発展を確認すると渦度に相当する変形ならびに発散に相当すると考えられる変形が確認でき、サブメゾスケール渦と呼ばれる海洋小規模渦によって乱流拡散の様相を示していることが確認できた。すなわち、ドリフターの集中展開により、メソスケール渦並びにサブメゾスケール渦双方に関する情報を持つデータセットを取得することに成功した。また、ドリフターの軌跡は海面高度計観測結果に基づくの力学的海面高度の等値線とよい一致を示しており、北極海でも比較的大きなスケールの流れは海面高度計を用いて推定できることを示唆する結果を得た。本研究では任意の海域の表層流をオンデマンドに把握することを目的として、海洋表層ドリフターの大規模展開による海洋流動場の把握手法を検討した。最終年度は特定海域として西部北極海を選び、展開を実施することで海洋表層ドリフターの大規模展開の有用性を示すデータを得ることができた。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
Coastal Engineering Journal
巻: - ページ: 1~15
10.1080/21664250.2023.2249243
巻: - ページ: 1~17
10.1080/21664250.2023.2283243
Scientific Data
巻: 10 ページ: -
10.1038/s41597-023-02160-9
Polar Research
巻: 42 ページ: -
10.33265/polar.v42.8874