研究課題/領域番号 |
21K14367
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
呉 偉 静岡大学, 工学部, 助教 (90804815)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ロバスト最適化 / 最大後悔最小化 / 発見的解法 |
研究実績の概要 |
現実社会の重要な意思決定の多くが組合せ最適化問題として扱うことができます.組合せ最適化の入力データには誤差や不確かさが内在しているときのロバスト最適化手法の設計を行いました.初年度では,いくつかの重要とされる組合せ最適化問題に対し,ロバスト最適化のモデル及び解く解法を提案しました. 具体的に,1. 最大後悔最小化基準における最短路問題に対して近傍探索に基づく発見的解法を提案し,計算実験により既存研究3種類より優れる結果を得ることが確認できました.2. 入力パラメータの変動量の総量を考慮した不確定集合の下で,アイテム価値が不確定なナップサック問題に対する擬多項式時間動的計画法を提案しました.発見的解法であるが,実験に用いる全ての問題例に対し,最適解を得ることができました. また,0-1整数計画問題における最大後悔最小化ロバスト最適化問題に対する発見的解法を提案しました.0-1整数計画は汎用性の高い数理モデルであり,最短路問題,ナップサック問題,割当問題など現実社会における重要な問題を含んでいます.最大後悔最小化ロバスト最適化問題の特有な性質(最良シナリオ補題)を発見し,その性質と双対定理を利用した上,反復双対置換法を新たに提案しました.提案した手法の有効性を確かめるには,代表的な組合せ問題4つ(ナップサック問題,多次元ナップサック問題,一般化割当問題,集合被覆問題)対し,既存汎用手法の3種類(シナリオ固定法,双対置換法,分枝カット法)及び各問題に特化した発見的解法を比較対象として,大規模実験の下で既存汎用手法と問題特化した発見的解法より良い結果を得ることができました.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は,代表的な組合せ最適化問題(ナップサック問題,最短路問題,集合被覆問題)それぞれに対し,既存研究より優れるアルゴリズムを設計する計画でしたが,結果として,ナップサック問題と最短路問題に対するアルゴリズムを提案し,既存研究と比べて,制限時間内により良い解を得ることができました. 初年度に,問題に依存しない,汎用性のあるアルゴリズムの提案(3年目の目標)ができたため,計画以上に進展していると判断させていただきます.
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今後の研究の推進方策 |
2年目の目標として,計画書の予定通りにスケジューリング問題に対して,理論と実践の両面で問題の性質を明らかにし,それらの性質を利用することで,効率のよい解法を開発したいと思います.また,摂動レベルを考慮した不確定集合の下で,摂動レベルの上限Γ と解の品質の関係を明らかにし,意思決定者が摂動レベルの上限設定に自信のないときの解決策を定めたいと思います.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響で海外の現地発表や,共同研究者との現地議論ができなかったため旅費はかかりませんでした.次年度は状況に応じて,活発的に現地の情報収集・交換,及び成果の発表を行いたいと思います.また,webミーティング用のIT機器や,計算実験用の高性能な計算機の購入を予定しております.
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