研究課題/領域番号 |
21K14371
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
伊藤 真理 神戸大学, 数理・データサイエンスセンター, 特命准教授 (20778211)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スケジューリング / 確率計画 / ロバスト最適化 |
研究実績の概要 |
本年度は,「(2)2段階確率計画問題の解法」を下記のとおり遂行した. 想定されるシナリオの数が増えるにつれ,変数と制約式の数も増大するので,大規模な線形計画問題となりうる.ただ,コンピューターの処理能力や汎用ソルバーの性能向上により,大規模な線形計画問題であっても高速かつ効率的に解ける場合が多い.項目(1)で定式化した問題をより高速に解くために,所有の汎用ソルバーからより強力なソルバーへの変更を行った.さらにより大規模な数値分析を実現するために,変数と制約式の数を削減し,短時間で解を得ることができるモデルを提案した.それに加え,数値分析に用いる実データの特徴を明らかにするために,実データがどの種類にカテゴライズされるかを分析した. 本年度は,上記の成果の一部を,査読付論文,講演会や国際・国内会議にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画どおり手術室のスケジューリング問題を解いた.さらに,変数と制約式の数を削減することができる新たなモデルの提案と,当初の計画では来年度に予定していた実データのカテゴライズを行った.そのため当初の計画以上に進展しているものと考えられる.本年度は,上記のいくつかの進捗を査読付論文,講演会や国内・国際会議で発表し,関連研究者と議論することができ,来年度の研究内容がより明確になった.
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今後の研究の推進方策 |
今後は項目(2)までに構築した分析手法を用いることにより,(3)有効性の検証を遂行する予定である.項目(3)はそれぞれ,(3-a)定式化の有効性の検証,(3-b)結果の解釈に分ける.今後の研究の詳細は以下のとおりである. (3-a)定式化の有効性の検証: 実データとベンチマークデータを用いた計算実験 項目(1)で提案した手法の有効性について,実データとベンチマークデータを用いた計算実験によって検証する.主な検証のポイントは,「合計遅延時間の期待値を最小化した場合と比較し,遅延リスク尺度をモデルに組み込むことによって得られた知見を明確化する.」,「手術室の管理者の経験知に基づく手術の所要時間容量よりも各日に多くの手術を受け入れることができているか.」,「実際の手術室のスケジュールよりもスケジュール変更が少なくなっているか.」,「手術管理のコストが減少可能か.」である. (3-b) 結果の解釈:実際の手術管理に役立つ知見の抽出 手術の管理コストを何%削減することが可能かやCVaRによる遅延リスク回避のためのスケジュール作成方法などの知見が,実データとベンチマークデータを用いた計算結果から得られる可能性がある.そのため,手術管理のコストについての議論も行う.また計算結果をスケジュール上に表し,視覚化できるようにする. 本研究の成果を国内・国際会議や学術雑誌等で発表することを考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時は国内会議が現地で開催される予定であったが,オンライン開催に変更され,未使用額が生じた.また本研究成果を発表する予定であった国際会議が次年度へ延期され,未使用額が生じた.国際会議の開催は社会情勢により今後も不確実なため,未使用額は国内旅費と論文執筆経費に充てることとしたい.
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