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2021 年度 実施状況報告書

粉塵爆発における火炎伝播メカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K14379
研究機関広島大学

研究代表者

KIM WOOKYUNG  広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (40781852)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード粉塵爆発 / 火炎伝播 / アルミニウム
研究実績の概要

本研究の目的は、微小重力場を活用することにより、粉塵爆発における燃焼限界と火炎伝播メカニズムを実験的および理論的に解明することである。2021年度は、粒径、酸素濃度が火炎伝播機構に及ぼす影響を定量的に明らかにすることを目指し、アルミニウム粉体の粒径、酸素濃度、粉体濃度が最小着火エネルギー及び最小爆発濃度に及ぼす影響を調べた。アルミニウム粒径が小さくなると最小着火エネルギーが小さくなる傾向、酸素濃度が大きくなると爆発下限濃度が小さくなる傾向になり、粒径が小さくなる程、酸素濃度が大きくなる程粉塵爆発の発生可能性が高くなることを示した。特に、MECは10μm付近で傾向が変わり、10μm程度の粒子から粒径が小さくなる程、大きい値を示した。これは凝集の影響により、火炎の伝播が困難になったためであると考えられる。また、酸素濃度10 %と15 %の間で爆発下限濃度が大きく変化し、酸素濃度10 %での爆発下限濃度の値は大きくなったことから、酸素濃度を小さくすることは粉塵爆発事故の予防策として効果的であると考えられる。さらに、浮遊粉体と粉塵爆発火炎を同時に観察可能な可視化システムを用いて、アルミニウム粉塵濃度が火炎伝播速度に及ぼす影響を調べた。本実験では、粉塵濃度が低下するほど火炎速度が下がる傾向が得られ、アルミニウム粉体濃度に対する火炎速度依存性が明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

粉体分散装置から分散された粒子移動速度、粒子数密度をPIV計測により撮影し、火炎伝播と粒子間距離、速度場変化が同時に測定でき、詳細な火炎伝播挙動と粒子の挙動や速度場変化が火炎伝播に影響を与えることが可視化できた。微小重力場における粉塵爆発における火炎伝播メカニズムを実験的に測定するために、新たな落下塔実験装置を構築できた。さらに、アルミニウム反応解析を行い、酸素濃度が火炎温度や火炎構造に及ぼす影響を明らかにした。以上のことより、交付申請書に記載した研究の計画の達成度について、おおむね順調に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

実際には粒子の製造方法などにより粉体は粒径分布を持っているので、同じ平均粒径でも小さい粒子の割合を変えて実験を実施し、粒径分布が火炎伝播に及ぼす影響を明らかにする。実際の粉塵爆発事故では流れ場が層流ではなく乱流場で起きているため、層流から乱流までの流れ場における火炎伝播挙動を明らかにする。流れが落ち着くまで時間が必要なので、HASTIC 落下塔で実験を実施する。

次年度使用額が生じた理由

コロナの影響により、北海道にある落下塔実験の実施を順調に進めるのが難しかったため、翌年度分として請求した助成金と合わせて落下塔実験を実施し、現象を明らかにする。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Minimum Ignition Energy and Quenching distance of aluminum dust clouds2021

    • 著者名/発表者名
      M. Parikh, R. Saeki, R. Modal, K. Choi, W. Kim
    • 学会等名
      12th Asia-Oceania Symposium on Fire Science and Technology
    • 国際学会
  • [学会発表] Effect of concentration on quenching distance of aluminum dust flames2021

    • 著者名/発表者名
      ラジブカンティモンダル、佐伯琳々、城﨑知至、遠藤琢磨、金佑勁、崔光石
    • 学会等名
      第54回安全工学研究発表会
  • [学会発表] 短時間微小重力実験のための粉塵爆発実験装置の開発2021

    • 著者名/発表者名
      佐伯琳々、飯干璃大、上野寧子、遠藤琢磨、茂木俊夫、李敏赫、土橋律、桑名一徳、矢崎成俊、三上真人、中村祐二、石川毅彦、金佑勁
    • 学会等名
      第59回燃焼シンポジウム
  • [学会発表] 粉塵爆発の連続体モデル - 1次元定常伝播に及ぼす重力の影響 -2021

    • 著者名/発表者名
      桑名一徳、矢崎成俊、金 佑勁、茂木 俊夫、土橋 律
    • 学会等名
      第59回燃焼シンポジウム
  • [学会発表] 微小重力環境における粉塵爆発リスク評価を目指して2021

    • 著者名/発表者名
      金佑勁、佐伯琳々、飯干璃大、上野寧子、遠藤琢磨、茂木俊夫、李敏赫、土橋律、桑名一徳、矢崎成俊、三上真人、中村祐二、石川毅彦
    • 学会等名
      日本マイクログラビティ応用学会第33回学術講演会

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公開日: 2022-12-28  

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