研究課題/領域番号 |
21K14380
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
松井 亮太 山梨県立大学, 国際政策学部, 講師 (20897441)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 福島第一原子力発電所事故 / ヒアリング調査 / 質的データ分析 / システムアプローチ / 意思決定 / 組織間関係 / 組織事故 / 安全神話 |
研究実績の概要 |
本研究は、特定の要素ではなく要素間の関係性に着目するシステムアプローチの視点から、原子力関係者と社会の関係性に着目し、福島第一原子力発電所事故(以下、1F事故)の背景に潜む本質的な問題を探ることを目的としている。当初は、1F事故前の日本の原子力関係者、および、原発立地地域の地元関係者等を対象として、事故前の状況や問題について対面でのヒアリング調査を行うことを計画していたが、新型コロナウイルス感染拡大により対面でのヒアリング調査を行うことが困難であったため、研究協力者とオンラインで協議を行いながら、オンラインでのヒアリング調査方法やヒアリング対象者の検討を進めた。そして、複数の原子力関係者に本研究の目的や方法をオンラインで説明し、ヒアリングの内諾を得ることができた。さらに、オンラインでのヒアリング調査を4件実施し、研究を進める上で重要な知見や情報を得ることができた。 対面でのヒアリング調査が制限される中で、以前より進めていた原子力発電所の安全対策に関する調書(日本政府が2014年に公開したヒアリング記録)の質的データ分析の研究をさらに進展させることができた。具体的には、原子力関係者が安全対策の意思決定において地元自治体などの意向を特別に重視していた背景には、社会の厳しい反応を恐れて原子力関係者がリスク情報を積極的に出せなかったことが影響している可能性などが見出された。本研究成果を纏めた論文は、日本原子力学会和文論文誌(20巻4号)に「福島第一事故前の安全対策に関する調書の質的データ分析:組織間関係とシステムアプローチの視点から」として採録された(2021年12月)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染拡大により当初予定していた対面でのヒアリング調査は困難な状況が続いているが、研究協力者と協議しながら、オンラインを主体にしたヒアリング調査の方法論やヒアリング対象者の選定などを進めることができた。さらに、複数の原子力関係者からヒアリングの内諾を得て、一部の原子力関係者に対してオンラインでのヒアリング調査を行い、重要な知見や情報を得ることができた。 他方で、以前より進めていた原子力発電所の安全対策に関する調書の質的データ分析の研究をさらに進展させることができ、その研究成果を纏めた論文が日本原子力学会和文論文誌に採録された。 これらの結果から、当初想定していた研究方法から幾分の変更があったものの、「システムアプローチの視点から、原子力関係者と社会の関係性に着目し、1F事故の背景に潜む本質的な問題を探る」という本研究の目的の達成に向けて概ね順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で得られた知見などを踏まえて、研究協力者と協議しながらヒアリング対象者やヒアリング項目などを見直していく。 今後も新型コロナウイルスの影響により対面でのヒアリング調査は困難な状況が続くと予想されるため、オンラインのヒアリング調査を中心として研究を進めていく。対面と比較してオンラインのヒアリング調査は、互いに深いコミュニケーションをすることが難しい場合もあるため、ヒアリングの方法論などを工夫していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由は、新型コロナウイルスの影響により、当初想定していた対面でのヒアリングが計画どおりに行えず、ヒアリングの件数も計画より少なくなったため、旅費や文字起こしの費用に計画と差が生じたためである。次年度使用額は、次年度のオンラインのヒアリングデータの文字起こしなどに使用する。
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