強磁性や強誘電性といった物質の機能は、秩序変数の反転と結びついた一次相転移に付随する履歴現象(ヒステリシス)と密接に関係している。例えば、大きな抗磁場を有する磁性体は永久磁石や記録媒体として利用され、小さな抗磁場を有する磁性体は、モーターやトランス、電源などに利用されている。一次相転移には大なり小なりヒステリシス挙動が伴い、ヒステリシスを自在に制御することが実用上重要となる。しかし、その定量的な理解は難しく、磁場誘起一次相転移材料でしばしば観察される低温での顕著なヒステリシス幅の定性的な理解さえも不明であったが、本研究ではその定量的な理解を進展できた。
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