研究課題/領域番号 |
21K14399
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石井 暁大 東北大学, 工学研究科, 助教 (90898438)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ニトリドボレート / 共役π電子 / 窒化物 / 二次電池 / リチウムイオン電池 / 全固体電池 |
研究実績の概要 |
主な成果は次の3点である。 [1] Li3BN2の相制御に成功: Li3BN2にはルチル型、アナターゼ型、単斜晶の多形がある。原料や合成条件、合成環境の制御によるこれらの作り分けに成功した。アナターゼ型と単斜晶についてはXRDレベルで単相試料が得られた。合成温度と生成相の関係は、第一原理計算による全エネルギーの大小関係で理解された。なお、物理気相蒸着ではLi3BN2の形成は認められなかった。 [2] Li | LiBH4 | Li3BN2 全固体セルの電気化学特性を調査: XRDレベルで単相なアナターゼ型Li3BN2と炭素およびLiBH4を混合して正極合剤を作製した。この正極合剤は熱処理前後でXRDパターンに変化が認められなかったため、アナターゼ型Li3BN2と炭素およびLiBH4は化学的に両立すると示唆された。Li | LiBH4 | Li3BN2 セルについてサイクリックボルタンメトリー測定したところ、Li脱離によると考えられる小さなピークが2V程度で認められたが、Li挿入に対応するピークは認められなかった。Li脱離ピークを示した試料はXRDにより還元膨張が認められたため、アナターゼ型Li3BN2はLi欠損状態でも直ちに分解されないと示唆された。Li挿入が認められなかった原因は不明である。なお、液体電解質を用いた場合もLi挿入は認められなかった。 [3] 第一原理計算によりドーパント存在下での電子構造を調査: 共役π電子系Li3BN2はドナーまたはアクセプター添加により高い電子伝導性を示すと期待される。そこでk、カチオンおよびアニオンを添加した7種の系について電子状態を理論計算した。F添加した系のみ電子伝導性が期待できなかったが、他の系ではフェルミ準位が伝導帯または価電子帯に縮退し、高い電子伝導が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
相を制御しながら安定的にLi3BN2を合成する技術を確立し、Li3BN2を用いた全固体電池も作製した点は計画通りである。理論計算も予定通り進めている。
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今後の研究の推進方策 |
確立されたバルク体合成技術と理論計算による電子構造予測を活用し、Li3BN2へのドーピングとその電気化学的特性への影響を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
合成試料形態の変更とそれに伴う原料の変更のため次年度使用額が生じた。電気化学測定の促進のために使用する。
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