研究実績の概要 |
ヤーン・テラー活性イオンであるNi(III)と不活性イオンであるCo(III)からなる層状酸化物をLDHsを合成し、トポケミカル反応により層状水酸化物(LDHs)へと直接変換することで、カチオン配列の制御を目指した。Co/(Ni+Co)比を系統的に制御すると,組成比が0.25において低電荷密度かつ低求核性の陰イオンである硝酸イオンに対する吸着容量が大幅に増加した。このときの値は,LDHsのもっとも一般的な合成手法である沈殿法により合成した様々な金属組成からなるLDHs(Mg/Al, Mg/Ga, Mg/Fe, Mg/Ga, Ni/Co, Co/Fe)を大きく上回る値であった。さらに,得られたLDHsのX線構造解析の結果から,この高い吸着容量をもつ組成では,Coが基本層面内で六方晶状に配列した構造を多く含むことが分かった。さらに,第一原理計算によって、種々のカチオン配列と硝酸イオンの吸着反応の反応エンタルピーとの関係を調査した。その結果,六方晶状の配列は層間の硝酸イオンと層間水,硝酸イオンと基本層の表面水酸基との水素結合を効率的に形成でき、これが高吸着容量を可能にしていると結論付けた。
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