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2021 年度 実施状況報告書

粘土化合物上への希土類錯体の2次元集積化と磁気秩序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K14406
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

西野 智雄  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (60824878)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード両親媒性分子 / 金属錯体 / 粘土化合物 / ポルフィリン / フタロシアニン
研究実績の概要

本研究課題では、ポルフィリンやフタロシアニンがランタノイドイオンをサンドイッチした構造のマルチデッカー型錯体を、種々の界面に対してface-on型で接合した2次元集積体の構築を行う。そのうえで、界面への接合が錯体の電子・磁気的特性に及ぼす影響および、その集積構造にもとづく物性について明らかにすることを目的とする。
2021年度は、親水性のカチオン性ポルフィリンと長鎖アルキル鎖を導入したポルフィリン・フタロシアニンがランタノイドイオンをサンドイッチした、両親媒性ダブルデッカー錯体の設計・合成に着手し、いくつかの化合物が得られている。得られた錯体の気液界面上での組織構造についてラングミュアー膜を作製し、表面圧測定により評価を行った。その結果、錯体は親水部を水相に、疎水部を気相に向けた配向で単分子膜を形成していることが明らかとなった。また、粘土化合物を担体として、カチオン交換反応を用いて錯体を粘土ナノシート上に担持したところ、粘土のカチオン交換容量に対して錯体の添加量が100% 以下では、ダブルデッカー錯体が定量的に粘土表面に吸着していることが分かった。ダブルデッカー錯体を粘土化合物と複合化した際には、複合化前と比較して吸収スペクトルが大きく変化したことから、粘土ナノシートへの吸着が錯体の分子構造に変調を及ぼしていることが示唆された。
2022年度は、分子構造が2次元組織体の形成に及ぼす影響について検討するとともに、組織体の次元性にもとづく電子・磁気的特性の解明に努める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度は、種々の界面上に2次元組織化するコンポーネントとなる分子として、親水性のカチオン性ポルフィリンと長鎖アルキル鎖を持つポルフィリン・フタロシアニンがランタノイドイオンをサンドイッチした、両親媒性ダブルデッカー型錯体を設計・合成した。合成した錯体は、気液界面上で親水部を水相に向けたface-onの形式で2次元組織化していることを明らかにした。また、粘土化合物と複合化した際には、カチオン交換反応を介してカチオン性ポルフィリンが粘土ナノシート上にface-on型で接合し、添加し錯体が粘土のカチオン交換容量に対して100%以下では定量的に吸着されることを明らかにした。

今後の研究の推進方策

2022年度は、親水部および、疎水部の構造が界面でのダブルデッカー錯体の集積化に及ぼす影響について検討を行うため、前年度に引き続き錯体の合成をおこない、各種界面で2次元組織体を構築する。そのうえで、界面への接合が錯体に及ぼす電子・磁気的影響ならびに、高密度に組織化した際の隣接分子間の相互作用について評価を行う。

次年度使用額が生じた理由

コンポーネントとなる錯体の合成が比較的スムーズに進行したため、想定していた試薬等の消耗品等の費用が当初の予定より低く、次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額については、2022年度の試薬、光学セル等の費用に割り当てる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] トリプチセンを導入したポルフィリンの積層化による分子ギアの構築2022

    • 著者名/発表者名
      福村将史, 西野智雄, Gwenael Rapenne
    • 学会等名
      日本化学会第102春期年会
  • [学会発表] Construction of Molecular Gears Based on Cerium Double-decker Complexes with Phthalocyanine Functionalized with Four Planar Peripheral Substituents2021

    • 著者名/発表者名
      Jeevithra Dewi Subramaniam, Toshio Nishino, Gwenael Rapenne
    • 学会等名
      錯体化学会 第71回討論会
  • [学会発表] Dipolar Nanocars Based on a Porphyrin Backbone2021

    • 著者名/発表者名
      Toshio Nishino, Colin J. Martin, Hiroki Takeuchi, Florence Lim, Kazuma Yasuhara, Yohan Gisbert, Seifallah Abid, Claire Kammerer, Gwenael Rapenne
    • 学会等名
      Pacifichem2021
  • [学会発表] Multiply Engaged Molecular Gear Composed of Multi-decker Porphyrin Complex2021

    • 著者名/発表者名
      Toshio Nishino, Gwenael Rapenne
    • 学会等名
      Pacifichem2021

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公開日: 2022-12-28  

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