研究課題/領域番号 |
21K14411
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
板坂 浩樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (30816468)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | メタマテリアル / 可視光 / ナノ結晶 / 自己組織集積 |
研究実績の概要 |
2021年度は可視光領域でメタマテリアルとして動作し得る金属-誘電体ナノキューブ複合規則配列体の配列構造の探索を目的として、時間領域差分(FDTD)法によるシミュレーションを用いた光学特性予測を行った。金属をAg、誘電体をBaTiO3としてそれぞれのナノキューブの規則配列構造、及びそれを積層した構造に対するシミュレーション結果から、それぞれのナノキューブ(一辺15 nm)を二次元的に交互に配列させた単層膜、及びBaTiO3ナノキューブのみからなる単層膜を交互に積層した規則配列構造において、波長440~470 nm付近の光に対して負の透磁率を示すことが明らかになり、負の屈折率を持つメタマテリアルとして動作し得ることが示された。また、Agを比較的入手が容易な球形粒子に替えた場合も、同程度の波長領域で負の透磁率を示すことが明らかになった。シミュレーションによる構造探索を行う過程で得た着想から、金属ナノ構造を用いたセンシング技術に関する特許を出願した。 また、目的とする金属-誘電体ナノキューブ規則配列構造を実際に作製するため、ナノキューブの合成条件を検討した。BaTiO3に関しては既に一辺15 nm程度のナノキューブの合成が可能であることから、Agに関して同程度のサイズのナノキューブの合成条件を先行論文により報告されている合成手法をもとに検討した結果、一辺15~20 nm程度のAgナノキューブの合成が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は当初の研究計画通り、シミュレーションに基づいた金属-誘電体ナノキューブ規則配列構造の光学特性予測及びAgナノキューブの合成条件の検討を行った。その結果、目的とする規則配列構造の設計指針を得るとともに、材料となるナノキューブ合成条件を最適化できたことから、おおむね計画通りに進展いていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーション結果から示された規則配列構造を実際に作製するため、自己組織を利用した金属-誘電体ナノ結晶の複合規則配列構造の作製手法の検討を行う。具体的にはリガンド修飾により粒子表面の静電相互作用を制御し異種粒子間の親和性を高めることで、自己組織集積における粒子配列構造の制御を試みる。得られた配列構造に対して走査電子顕微鏡や透過電子顕微鏡等を用いて配列構造内での各ナノ結晶の分布を評価し、リガンド修飾や分散濃度等の集積条件と最終的な配列構造の相関関係を明らかにする。
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